2012クリスマス | ナノ



二人にプレゼントを渡して意気揚々と帰ってきた。テレンスさん達にはまた後で渡しに行かなきゃな、なんて思いながら机に置かれた包みを二つ手に取る。
足音を忍ばせてホリィママの枕元に小箱を置いてそっと立ち去る。景気づけに水を一杯飲みほしてそっと階段を昇った。


「お邪魔しまーす」


小さくそう告げると寝息が返ってきた。そっとベッドに近付くと、相変わらず見惚れる程綺麗な寝顔が伺える。思わず写真を撮りたくなるがそこは脳内カメラで我慢して包みを枕元に乗せた。
さて、帰ろうかなと思いながら今頃冷たくなっているであろう布団を思い出してげっそりする。自分が悪いとは言え冷たい布団は悲しい。一つため息をついた瞬間承太郎が寝返りをうった。そのせいで僅かに開いた隙間。それがこっちにおいでよ!と言っている気がした。うん、布団君が誘うから悪いんだよね!仕方ないよね、不可抗力だわこれは!誰にともなく言い訳をしながら、そっと隣に潜り込んだ。



朝起きると、隣に名前のアップがあった。訳が分からないまま身体を起こそうとするが、名前に腕がしっかりと掴まれていて起き上がれない。思わずため息をついた。カーテン越しに朝日が差し込んで薄暗い部屋を何とはなしに見回していると頭上に何かが置いてあった。
自由になる片手でそれを取って、包みをはがす。中からは星の形のクッションが出てきた。…いや、薄暗くてよく分からないが、色合いと言い刺繍された線と言いこれはヒトデだろうか。
一体何を思ってのチョイスなのかよく分からない。何度かぼすぼすと叩いてみるが、中々使い心地のよさそうなものだ。なぜヒトデかは分からないが重宝させてもらおう。そう思いながらこれを置いた犯人であろう名前の見る。
間の抜けたにやけ面で気持ちよさそうに寝ていた。大方これを置きに来てそのまま潜り込んできたという事だろう。気付かない自分も自分だが隣の部屋まで戻らないこいつもどうなんだろうか。とりあえず起こそうとした。しかし。


「じょう、たろ…」


本当に嬉しそうに笑いながらおれの名前を呼ぶものだから、そんな気がさっぱり薄れてしまった。諦めて横になれば二人分の体温で温められた布団がまた睡魔を呼びもどした。


「やれやれだぜ…」


口ではそう言いながらも内心そうは思っていない自分に苦笑しながらもう一度目を閉じた。



メリークリスマス!
おは、よー。寝ぼけ眼を擦りながら笑う名前をありがとよ、と言いながら撫でてやる