「メリークリスマース!」
テンション高く告げられた言葉と共に腹部に飛び込んできた名前に一瞬息が詰まる。じろりと睨みつけても変わらずに笑っている名前に腹が立ってそのまま抱きしめてぐるりと反転させた。
上下が逆転したことにぱちくりと瞬きをする名前の首に噛みつく。
「いっ、たいー…」
ぺちぺちと力なく肩を叩く手を気にせずに柔肌に牙を立て、溢れて来た血を舐めとる。痛みとこそばゆさに名前が身を捩らせた。牙を引き抜き穴に舌を這わせる。ポツリと開いていた穴が消えたのを見届けてからそこに軽くキスをした。
「いつも一言先に言えって言ってるのにー…」
ぐったりとしながらも文句を言う名前に圧し掛かれば、し、死ぬ…と蚊の鳴くような声で訴えてきたので退いてやる。
「死ぬかと思った」
「それぐらいでお前が死ぬものか」
「いやいや、体格差を考えてよお兄さん。幼気な少女と2m近い威丈夫ですよ?死ぬって。さくっと死ぬって」
「死んでないからよかろう。大体私の眠りの邪魔をするから悪いのだ」
「だってクリスマスですよ、クリスマス!」
「こちらはまだ24日の17時だ」
「だって一番にめりくり言いたかったんだもんー」
「なんだそれは」
「メリークリスマスの略」
「馬鹿が余計馬鹿に見えるぞ」
「事実とは言え酷過ぎる!」
口を尖らせる名前を抱き込んでそのままもう一度眠る体勢に入る。なんだかんだ言っている声が聞こえたが、無視してそのまま腕の中の暖かさに誘われるままに眠りについたのだった。
一番は君に
起きた時にはもう名前は居らず、机の上にはプレゼントです!と書かれた紙と共に日傘が置いてあった。…これは死ねと言う事かと暫し考えたのは仕方のない事だろう。
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