いつの間にか大半は酔いつぶれ、残りも潰れては居ないものの大分ヤバい状態になっていた。床には空いた酒瓶がゴロゴロと転がっている。
「そろそろお開きかなあ」
「ん、ああそうだな…」
「ソルベとジェラートもいつの間にかいねーしなー」
「あ、本当だ…」
「あそこは完璧に沈没してんな…」
プロシュートの言う通りペッシ、ギアッチョ、メローネ、イルーゾォの四人はソファで重なり合う様にして寝ていた。真中で両方から押されているイルーゾォが苦しそうだ。
「とりあえず皆部屋に返すわ…」
「お前も酔ってんだし無理すんなよ。ベッドじゃなくて床に落としかねねーぞ」
「酷いなプロシュート。いくら酔ってるとはいえそんなことはない、と思いたい…」
「思いたいかよ、しょうがねーなーイルーゾォはおれが連れてくわ」
苦笑したホルマジオがイルーゾォをソファから引っこ抜く。バランスを崩した三人は呻くものの起きる気配はない。プロシュートがペッシの頭を引っ叩いて起こす。寝ぼけ眼だがなんとか起きたペッシとプロシュートを見送る。
「とりあえずメローネを連れていくか」
「ん、よろしく」
メローネを担いでリゾットが出て行った。急激に静かになった部屋を見まわしながら今日は楽しかったな、と一人笑ってしまう。
「一人で笑ってんなよ気色悪い」
「あれ、ギアッチョ起きたの?」
頭をゆるく振りながらギアッチョが身体を起こす。今日は一番初めに潰された分抜けるのも早かったのだろう。
「冷えるから部屋戻りなよ」
「…ああ。お前は?」
「ざっと後片付けしたら戻るよ」
「そうか」
頷くもののギアッチョが動く様子はない。まだ酒が抜けきってないんだろう。しかしこれだけ意識がはっきりしてたら肩の一つでも貸せば部屋まで戻れる筈だ。
「動くの辛いなら肩貸そうか?」
「いらねえ」
「そう?」
いつもより数段素っ気ない返事に流石にムッとする。まあもう少ししたらリゾットも帰ってくるし彼に任せてしまえばいい。そう思って床の酒瓶を集めようと腰を浮かせた瞬間、ナマエを呼ばれる。
「なに?やっぱり肩貸す?」
「そうじゃねえ!…そうじゃねえよ」
いきなり大きな声を出したギアッチョにびっくりしてると、今度は弱弱しく首を振る。一体どうしたというのだろうか。意識がはっきりしたと思ったのは勘違いでまだ酔っているのだろうか。そんな事を考える私に構わずギアッチョは私の前に来てポケットから何かを取り出した。差し出されたのは、綺麗なラッピングがされた長方形の箱だ。
「…開けていいの?」
「ああ」
「…わあ」
ラッピングを解くと綺麗なネックレスが収まっていた。雪の結晶の形のトップが輝いている。
「綺麗だね、ありがとう」
「…気に入ったか?」
「もちろん!凄い嬉しいよ?」
「ならいい。…メローネの奴がお前が欲しがってるもんとかやってるから、渡し辛くてよ」
「…ギアッチョ」
「なんだよ」
「これ、つけて」
そう言って後ろを向けば、僅かな間をおいて手が伸ばされる。出来たぞ、という言葉に振り向いた。
「どう?似合うかな?」
「…まあ、想像よりはましなんじゃねーか」
「そっか。…毎日着けるよ、ありがとうギアッチョ」
ギアッチョが力強く私の頭を撫でる。押されるがままに下を向いてしまうが、今はその方がいいんだろう。彼が一体どんな顔をしているのか想像してそっと微笑んだ。
サンタよりも
素敵なプレゼントだよ、ありがとう
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