一応リゾットにも許可を取るべきだろうとアジトに向かう。まあ、アジトと言っても隣の部屋なのだが。ノックをして数秒。入れと言われたので遠慮なく入る。
「ああ、ナマエか。どうした」
「今日仕事とか入ってる人っている?」
「…いや、今日は誰も入っていないな」
「そっか。じゃあリゾットも暇だよね?」
「…書類を書くのが暇つぶしと言えればな」
「…あー、うん。まあ今日はナターレだしさ!書類は一旦忘れてパーティーでもしませんか」
「パーティー?」
私の言葉に眉を顰めるリゾット。許可が出るといいんだけどな、と思いながら姿勢を正して待つ。まあ、許可が出なかったら実力行使で勝手に開催するけどな!そんな私の考えとは逆にリゾットはまあいいんじゃないか、と言った。
「え?いいの?」
「ああ、たまにはそういう息抜きも必要だろう」
「やったー!」
両手を掲げてガッツポーズをしていると、扉が勢い良く開いて後頭部を強打する。あまりの痛みに蹲っていると、ギアッチョに蹴られた。
「んな所に居ると邪魔だろーが!」
「邪魔って…私一応上司に当たるのに」
「邪魔なもんは邪魔だろーが!」
ぎゃあぎゃあと言い争っていると、リゾットに首根っこを掴まれて二人とも外に追い出された。しかも、うるさいから外でやれ、ついでに買い出しもして来い。という言葉と共に。
「買い出し、ってなんだよ…」
クエスチョンマークを浮かべてるギアッチョに説明すると、めんどくせーなー、なんて言ってるが目は輝いている。何だかんだノリのいいイタリアーノの血が流れているらしい。
用意を済ませて外に出るとギアッチョはもう外で待っていた。
「おせーんだよ!」
「だって流石にスッピンで外出たくないし」
「化粧しても変わんねーだろうが」
「変わるよ!?少しは変わるよ!」
「気のせいだろ」
「そうかな…」
「っていうかよー化粧っていう言葉はいいよな。粧はめかすって意味だ。それに化ける…完璧な言葉だよな」
また始まったかと思いながら適当に頷きつつ助手席に座る。それにしてもよくこうも色々と考えられるものだ。
「だけどよお、お前は化けてもねえしめかしてるって感じもしねーから化粧って言うのはおかしいよなー」
…流石にイラっときたので酔っ払った時にヘアアイロンでくるくるの髪の毛をストレートにしてやろうと心に決めた。お前誰だよ!とか言われればいいんだ。
「つうかよー、お前別に化粧なんざしなくても見れねえほど酷い顔じゃねえだろ」
…キュンときたから許そう。わたし心広い。そしてギアッチョも中々いいことが言えるじゃあないか…。
「美人でも可愛くもねえけどな!」
そう言って笑うギアッチョを見て、右半分だけストレートにしようと決意した。貴様なんぞ笑い物になっちまえ。ついでに写真集が出せるくらい撮ってやろう。で、それをメローネに売ろう。
「まあ、そう言う奴の方がホッとはするかもな」
そう言うギアッチョの耳が少し赤くなってたから、売るのは止めておこうと思った。なんだこいつ飴と鞭を知ってやがるぜ…!
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