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Hello!Hello!




「おお!やはり可愛らしい…!そのまま人形にしてしまいたいくらいですよ!」

「お願いですからそれだけは止めてください…!」


目が、目が本気だこの男…!じりじりと距離を広げたが一瞬にして詰め寄られた。普段インドア派のくせにこんな時だけ瞬発力を発揮しないでくれ…!


「さあこのマントを羽織って!」


テレンスさんから渡されたマントを羽織れば完成だ。テレンスさんはいつの間にか取り出したカメラで撮影しまくってる。…肖像権って知ってますか?まあ、今更…か。


「やはり名前の黒髪には魔女っ子の衣装が似合いましたね…!出来ればロングの時に着せたかったですが…。ショートと言うものも中々いい…!猫娘とも迷いましたがこちらで正解でしたね!」


荒い息をしながらブツブツと呟かれた言葉に背筋が寒くなる。聞こえなければよかったのに…。というか猫娘は嫌だ。猫耳とか絶対着けないからな!

ふう、と一息ついたテレンスさんからバスケットを渡される。底には1つ飴玉の瓶が入っているが、その為だけには不釣り合いな大きさだ。


「館に居る方々にはお菓子を用意するように言っておきましたから。これに入れて貰うといいでしょう」


にこりと笑うテレンスさんはいつもの様に優しい微笑みを浮かべていた。そう、あなたはそうあって下さい…!
ではお菓子をもらう旅に出ようとお礼を言って外に出ようとしたら…。


「バスケットが一杯になったらそれを持った所をまた撮影したいのでここに戻ってきてくださいね!」


ああ、なんか凄く悲しい始まりのハロウィンになったな…。