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Hello!Hello!




「遅かったな」

「女の子の支度は大変なんだよ…ディエゴ」

「…女、ね」

「どこを見てるどこを!」

「いや、相変わらず育ちの悪い胸だな、と思ってな」

「君みたいにデリカシーのない男がなぜモテるのか本当に不思議だよ…」


がくりと肩を落とす私を気にせずにずるずると引きずるディエゴ。こうした自己中心的な所もDIOに良く似てる。…そこは似なくてもいいだろうに。

目が覚めた時私は孤児院に居た。それを引き取ったのが幼いディエゴの居た金持ちの所だった。引き取ったのはただパフォーマンスとしてというのに道中で気付いた。なんせ馬車の椅子には座らせてもらえなかったのだから。人足として引き取られ、保護者もいない私の待遇は酷いものだった。しかし、そんな私を守ってくれたのがディエゴの母だった。
それから私とディエゴはずっと一緒に育って。彼が騎手として独り立ちした時も、私も一緒に連れてきてくれた。
それには本当に感謝している。…しかし。


「なんで私までSBRに参加するのか未だに納得いかないよ…」

「お前には才能も実力もある。オレが1位でナマエが2位。それがこのレースの結末だ」

「いやいや、べつにディエゴの一着だけでいいじゃん。賞金も景品も十分でしょそれで」

「うるさい。お前はオレと一緒に来るんだ」


…あれ、今の物言いでなんとなく感じたんだが。


「…レース中離れてるのが寂しいとか?」


ピタリとディエゴの足が止まる。どうやら図星らしい。