裏 | ナノ







酒のせいかこの状況にか上気した頬に指を滑らせる。くすぐったいのか緩く首を振る苗字の髪が僅かに乱れる。髪の合間から覗く形の良い耳に唇を寄せて舌を這わせる。ピクリと跳ねる体を抑え込んで縁をなぞる様に舌を動かしながら時たま耳たぶを甘噛みする。唾液で濡れ始めぴちゃぴちゃと音を立てる頃苗字が俺を呼ぶ。

「く、じょくん、それやだぁ…」

そういう苗字の頬は明らかに先程より赤みを増している。何も言わずに息を吹きかければ甘さを含んだ吐息が零れた。

「耳弱いんだな」
「そ、んなのしら、ない」

舌の動きから逃れようと苗字が首を捻る。曝け出しされた首筋に指を滑らせた。微かに息を飲んだ苗字に喉で笑う。目に少しばかり非難の色を浮かべた苗字に構わずまた犬の様に耳を舐め始めれば下唇を噛みしめた。指で無理やり口をこじ開けて指を入れる。引っ込まっていた舌がおずおずと指に絡み始める。右手で頭を撫でてやれば惚けた様に目が細まった。互いの口元から濡れた音が響く。そっと服を捲り上げると空気にさらされた肌がふるりと震えたが意識は口内の指に囚われているらしく気付いた様子はない。ブラジャーをずらすと流石に気付いて僅かに背中を浮かせる。ホックを外すと解放されたことを喜ぶように乳首が立ち上がっていた。その周りを指で撫でるとくぐもった声が上がる。煽る様に触れずにくるくると指を遊ばせれば、指先にちくりと痛みが走る。
涙目になりながら睨み付ける苗字が指先に何度も軽く噛みついてくる。その可愛らしい抗議に唇が吊り上ったのが分かった。絡みつく舌から指を引き抜いて目を合わせる。

「どうして欲しい?」

そう問う間も胸に置かれた指が円を描く。時たま触れるかどうかぎりぎりの所へやれば苗字の体がそこに導こうと揺れた。

「…空条君の、意地悪」
「後悔しても知らねえって言ったろう?」

苗字の唾液でべたつく指をべろりと舐めると顔を背ける。その反応が男の欲をそそると分かってやっているのか。いつの間にか怒りよりも苗字の反応に、声に情欲に駆られる俺が居た。

「言えよ。気持ちよくしてやる」

耳元で囁き耳たぶを舐めると苗字が小さな声で呟く。

「聞こえねえよ」
「さわ、って」

羞恥を堪える為か俺のシャツを握りしめて目を瞑る苗字に軽く口付けると、期待に震える乳首を弾く。堪えきれない喘ぎが苗字の口から零れた。
赤ん坊の様に乳首に吸い付き、抉る様に押し付けて軽く噛みつく。その度違う反応を見せる苗字に優越感が湧いた。
ズボンのボタンを外し手を滑り込ませる。顔に乗せていた腕をずらした苗字が少し不安げな顔をしてこちらを見る。一度手をずらし苗字の頬を撫でてやれば、小さく息を吐いた。
そのまま体を起こし、不思議そうな顔をする苗字の腕を取って抱き起す。

「空条君?ど、したの?」

疑問の声を上げた苗字に応えず、抱き上げて寝室に向かう。ベッドに苗字を下ろして常夜灯を点け、シャツを脱ぎ捨てた。ポカンとしていた苗字が慌てて目を逸らすものだからつい笑ってしまう。

「何此処まで来て照れてんだ」
「いやだって、空条君格好いいし…」

なんともいじらしい言葉に体温が少し上がった気がする。顎を掴んでキスをすれば、誘うように唇が開いた。舌を差し込みお互いの唾液が混ざり合う。飲んでいた酒のせいか妙に甘ったるく感じた。
会話を交わして少し燻った快感は直ぐにまたちりちりと火を灯す。苗字の肌も、それに触れる俺の手も酷く熱く感じた。

「下も、さわって…」

恥かしそうに震えながら告げられた言葉に誘われるままズボンを剥ぎ取る。下着の上から触ればそこはもうしとどに濡れていて。

「随分待たせちまったみてえだな」
「…ばか」

そっぽを向く苗字の頬に軽い口付けを振らせながら下着の中に指を滑り込ませる。入り口を何度か撫でて指を差し込むと奥へ促すかのように中が蠢く。

「はっ…あ…」

快感から逃げるように揺れる腰を掴んで指を動かす。ある一点を引っ掻いた時苗字の体が跳ねた。重点的にそこを狙うとシーツが握りこまれて皺を寄せた。

「やっ、そこ、だめ…!あ、ああ…んっ」
「一回イっとけ」
「ひっ、あ、ああ!」

短い悲鳴を上げて苗字の体から力が抜けた。指を引き抜くと小さく体が震える。苗字の頭を一度くしゃりと撫でて、ベッドサイドに置かれた小机の引き出しを開ける。幸い以前買ったゴムはまだ残っていた。一つ切り取って苗字の体に跨る様にして体を倒した。

「今なら止めてやる。…いいのか?」

今更何を言っているのだと自分でも馬鹿らしい。もしもここで止めると言われれば自身の熱の持ってきようもない。しかし、それでもただ自暴自棄になって、したくもないことをしているのなら止めてやりたかった。彼女を傷つけたくないと、思っている自分がいる。
苗字はそんな俺を熱に浮かされた様な惚けた目をしながら、緩く笑って頷いた。それを確認して俺もズボンと下着を脱ぎ捨てる。立ち上がったペニスからはもう既に先走りでぬるりとしている。手早くゴムを付けて苗字の秘部に当てる。

「くうじょ、くん。名前、よんで…?」
「…名前」

苗字の名前を呼ぶのはこれが初めてなのに、何故か妙にしっくりと馴染んだ。嬉しそうに笑う苗字に口付けながら腰を進めた。微かな抵抗感の後ずるりと中に引きこまれる。まだ先程の絶頂の余韻が残っているのか、小さく痙攣する感触に直ぐにでも射精してしまいそうになる。
初めは小さく、徐々に大きく腰を揺らす。先程見つけた箇所を探る様に腰を回せば、苗字の口から嬌声が上がる。

「ん、あっ…あんッ、やぁ、あぁん」
「くっ…」

ぐねぐねと動く中に今にも持ってかれそうになりながら腰を打ちつける。

「く、じょ、くん、も、だめ、だめッ…」

彼女も限界が近いのか眉を顰めて首を振る。奥まで差し込んだところで動きを止めれば、切なそうにしながら彼女の腰が揺れる。

「名前…」
「や、うごいてぇ…」
「お前も名前で呼べ」
「…じょ、たろ…」

戸惑うように俺の名前を小さくつぶやく。

「もっとちゃんと呼ばねえとこのままだぞ?」
「…じょうたろ、承太郎…!」

耐えられないとばかりに縋りつきながら苗字が俺の名を呼ぶ。どくりと下半身に更に熱が集まったのが分かった。

「名前…名前…」
「じょ、たろ…アッ、ん…じょうたろ…」

互いの名を呼び、キスを交わし合いながら二人絶頂に向かう。殊更強く奥に突き上げた瞬間、名前の体が仰け反った。

「あ、ああああッ…!」
「くっ…あ…」

キツイ締め付けに俺も限界を迎える。ぶるりと腰が震えながらため込んだ精液が放出される快感にクラりと眩暈がした。

「…おい、大丈夫か?」

漸く呼吸が整い、名前に声をかける。しかし気を失ってしまったのか安らかな呼吸が聞こえるだけだった。

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