小説 | ナノ






※現パロ

歴代ジョジョが兄弟
ジョースター家とブランドー家はお隣さん
ヒロインはDIO妹


「ジョナサン!今日こそ決着を付けるぞ!」
「ディオ!ぼくは君になど屈しない!」

なんだかカッコいい感じの事を言っているが大きな体を並べた二人の前にあるのはテレビだ。更に正確に伝えるならばテレビゲームだ。くだらない戦いに白熱する二人にため息を零していると、後ろから玄関の開く音がした。

「お帰りなさい、お邪魔してます」
「ああ、ただいま」

帰って来たのは三男である承太郎だった。海洋学とやらを学び始めた彼の鞄が重そうな音を立てて椅子に置かれる。中にどれだけ本が入ってるのかなど考えたくもない。本は大好きだが持ち歩くものではなく家で読むものだ。…こういうことを言うから引き込もりと揶揄されるのかもしれないが。

「今日はお前も来てたのか」
「うん、丁度締め切りが一昨日でね。今は久々の自由な時間なんだよ」
「そうか、お前も大変だな」
「まあ、学生の君には負けるさ」

肩をすくめながら小さく笑う。それを見て眉間にしわを寄せる承太郎にまだまだ若いな、なんておばさん臭い事を考えてしまった。たった2つしか変わらないが私の中の承太郎像は未だに幼い頃で止まっている節がある。
それから取りとめのない話をしながらゲームに熱中する二人を眺める。この前私が見に来た時は花札勝負でその前はなぜだか腕立ての回数を競っていた。兄が15歳、私が8歳の頃に出会ってから兄さんはどうもジョナサンさんを目の敵にしていた。一体何故なのだろうか。そんなことを考えていると、脳内を見透かしたかのような兄さんが叫んだ。

「貴様が我が妹の初恋の相手などとは認めんぞジョジョ!あれを手に入れたければ私を倒すことだな!」

…は?いやいや兄さんあなた何度も負けてるじゃないですか。っていうかジョナサンさんにはエリナさんが居るし、それに初恋ってあなた幾つの時の話をしてるんですか。と、言うか人の恥ずかしい過去を叫ぶな。慌ただしく脳内に色々な考えが飛び交った。
驚いたのは私だけではなく、ジョナサンさんと承太郎も同じだったらしい。ジョナサンさんはコントローラーを取り落としポカンとしていたし、基本無表情を売りにしている承太郎も目を見開いていた。その間にWRYYYY!なんて雄たけびを上げる兄さん。どうやら今の隙をついてジョナサンさんを負かしたらしい。しかし、今の私達にとってそんなこと知ったこっちゃない。

「えっと、今のディオの言葉は…」
「本当の事ですよ。といっても昔の話です」

急に暑くなった様な気がして顔を手で煽ぐ。きっと今の私は真っ赤だろう。ジョナサンさんも赤くなっていたが、ありがとう、と笑った。うん、こういう気遣いが出来るとこが好きだったんだよなあ。

「まいったな」
「え?」

それまで黙っていた承太郎が急に変な事を言うものだから、見上げれば思っていた以上に間近に顔があった。いや、間近って言うかこれは…。唇に少しかさついた柔らかいものが触れる。いや、何かではなくこれは承太郎の…。兄さんが先程とは違う悲痛な叫び声をあげるのがどこか遠い所で聞こえる様な不思議な感覚の中、顔を離した承太郎がニヒルに笑う。

「おれの初恋はテメーだ。ライバルが兄貴とは中々手強いが、まあどうにかするしかねえな」

やれやれだぜ、と呟き帽子を深く被る承太郎。やれやれだぜはこっちのセリフだ。というか、昔の事だと言っただろう。いや、それよりも。
自分が思っていた以上に承太郎は大人になっていて、もう子どもではないのだと触れた唇に教えられた気がした。


いつの間にか成長してた男(の子)
き、貴様なんぞに妹はやらんぞ!
ここにもめんどくせえのが居たな…

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