小説 | ナノ






おじいちゃんというのはあの闇医者のことだろう。


「解熱剤だって」

「…意識がない奴にどうやって錠剤飲ませんだよ」

「おじいちゃん腕はいいけど抜けてるよな」

「たくっあのじじい…」

「てかどうやって飲ませるって、そりゃ口移しだろ」

「…」



やはりそれしかないかと考えるプロシュートに錠剤を押し付けるとメローネはドアに向かった。やっと出て行ったかと思いきや、振り返ってまたあのからかいを含んだ笑みを浮かべる。


「お姫様は王子様のキスで目を覚ますに決まってるじゃん!」

「…死ね」


あまりにも馬鹿げたことを言うので、プロシュートはとりあえず側に有った雑誌を顔面に投げつけておいた。漸く静かになった部屋で手に乗せられた錠剤を眺める。確かにメローネの言う通り口移しで飲ませるしかないだろう。となれば水を取りに行かなくては。そう思いプロシュートが腰を上げ部屋を出ようとすると、扉の影にメローネが隠れていたのでとりあえずグレイトフル・デッドを喰らわせておいた。


「そんなとこも、ベネッ…!」


変態の散り際はやはり変態だった。

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