「空条君最近鏡見てますか」
「…」
「隈酷いですよ」
「お前に口を出される筋合いはねぇ」
「そうですね。でも、泣きそうな顔をしている人をほっとけない程度にお節介なんです私」
告げられた言葉に返す言葉を失う。おれはそんな情けない顔をしているのだろうか。分からないがしていないと断言は、できない。
「空条君がなんでそんな風になっているかなんて知りませんし、聞きません。ただひとつ言っておきたい事が有ります。…苦しくて苦しくて、泣きたいのにそれを我慢し続けてたら前になんて進めませんよ?泣きたくなくなった時乗り越えられたんじゃありません、ただ抑え込んだだけです。自分の苦しみから逃げただけ。…そんなの辛いでしょう。それじゃあ貴方自身が浮かばれない。そして貴方を、大切に思う人も」
女の言葉に触発された様に仲間の顔が思い浮かぶ。花京院、アブドゥル、イギー。お前たちはこんなおれを見てどう思う。情けないと笑うか。すまないと謝るのか。
きっと、その両方だ。
目頭が熱くなって、帽子を深く被り直す。だんだん視界が歪み始める。…嗚呼、そう言えばあの旅が終わってこうして泣いたのは、確かに初めてだ。
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