小説 | ナノ






「喉、痛い…」
「微熱に喉の痛み、頭痛…完璧に夏風邪だな」
「うう、いっそ熱がもっと上がったら逆に楽なのに…」
「こっちはそっちの方が心配だがな」
「…え?今なんて言った!?なんて言ったの承太郎!」
「うるせぇ、黙って寝てろ」
「心配してくれてるんだー」
「噛み合ってねぇしニヤニヤしてるな気色悪い」
「気色悪いって酷い!」
「さっさと寝ろ」
「そんなこと言われたって眠くないし。…って、ああ!」
「どうした!?」
「今日、夏祭りだったのに…」
「…さっさと寝ろ」
「承太郎と行きたくてわざわざ新しい浴衣まで買ったのに…」
「…仕方ねえな、今度違う祭りに連れってってやるよ」
「本当!?」
「ああ。だから大人しくしてろ」
「はーい」
「隣に居るからなんかあったら呼べ」
「あっ…」
「今度は何だ」
「…寂しいから、寝るまで隣に居て?」
「…やれやれだぜ」


なんだかんだ甘い男
眠くねぇって言ってた割にはすぐ寝やがって。
…早く治せよ。

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