「お、名前。お前暇か?」
「暇と言えば暇でーす」
「んじゃ悪いんだが手伝ってくれるか?」
「へ?」
先生に連れて行かれたのは普段先生が居る準備室だった。
「うわあ…」
思わず感嘆のため息が出るほどの汚れっぷりである。
「片づけといてくれねえか?」
「え!?」
「明日教頭の野郎が見回りするらしくてよお、汚してっとうるせえんだわ」
…口煩くない人でも文句を言いたくなるレベルだと思うぞこれは。そんな私考えは露知らず、先生はさっさと逃げようとしていた。
「え、これ一人でやるんですか!」
「あー、いや。…お、ジョバァーナ!お前も手伝え」
先生が向いた先にはジョルノ君がいた。
「…なんですか、無駄は嫌いなんで、」
私の顔を見てジョルノ君の言葉が一瞬止まる。その間に先生はすたこらと去って行ってしまった。
「…なにやるんですか?」
「ここの掃除だって…」
中を覗き込んだジョルノ君の顔が歪む。…綺麗好きそうだもんね。
「仕方ないですね。さっさと終わらせてしまいましょう」
腕まくりをしたジョルノ君に続いて山になっている机に向かう。…色々プリントとかあるけど不味くないんですか先生…。
見たらまずいものが出てきちゃったらどうしようか…なんて思いながらとりあえずサイズごとにプリントをまとめる。
「どうやったらこんなに汚せるんだか…」
「ジョルノ君は整理整頓とか得意なの?」
てきぱきと動くジョルノ君に声をかければちらりと振り向かれる。
「得意とまではいきませんが苦手でもありませんね」
どこに何があるか分からないと不便でしょう、というジョルノ君に賞賛の目を向ける。ここまでではないにしろ私もどちらかと言うとプロシュート先生寄りだ。手の届く範囲に物があるって便利だよね、とか言っちゃうタイプ。そんな私に気付いたのか少し呆れを含んだ目を向けられる。
「今度あなたの部屋も片付けに行った方がいいようですね」
「え、いや…こ、ここまでじゃないよ!」
「本当ですか?」
疑う様な目つきにぶんぶんと首を振れば吹き出された。
「冗談ですよ」
「本当?」
「ええ」
くすくすと笑うジョルノ君の髪が窓から差し込む日に照らされていてキラキラと光る。綺麗だなあ、と一瞬ぼんやりとしてしまった。
「どうかしましたか?」
「ううん!なんでもないよ」
見惚れていたのがバレてしまうのが恥ずかしくて慌てて床に落ちていたごみを拾った。
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