Wonderful Days | ナノ






ジョナサンさんに聞いた話はかなり複雑で理解するのにかなりの努力が必要だった。と言うより今もまだ理解できていなかったりする。そこで支離滅裂ながらなんとか纏めて見ようと思う。

まず、私と承太郎…空条家の関係性は私の知っているものと同じだった。つまり、ホリィママが居て、貞夫パパが居て、承太郎と引き取られた私の四人家族である。…ここまではいい。問題はここからだ。

まず、ジョナサンさんとジョセフさんのお父さん…ジョージ・ジョースターには五人の子供が居る。年の離れた長女のホリィとその下にジョナサン・ジョージ(二世)・ジョセフ、異母兄弟の仗助。
ジョージさん…分かりやすくお祖父ちゃんでいいか。貿易商を営むお祖父ちゃんはある年仕事で日本にやってきた。そこで仗助のお母さん朋子さんと出会い恋に落ち仗助が生まれた。もうすでにおばあちゃんを亡くしていたお祖父ちゃんは結婚を申し込んだが、その時一番下のジョセフさんはまだ幼く、母を亡くした子供たちの心境を慮った朋子さんに断られることとなる。しかし、愛の力と言うべきかおじいちゃんは日本に移住を決意したらしい。で、一家で日本に移住し、ホリィママはそこで貞夫パパと出会い結婚。私の知る空条家が出来上がった。
そしてこの春。仗助が高校に上がり、それを機にお祖父ちゃんと朋子さんは結婚。朋子さんはお祖父ちゃんの故郷、イギリスへの移住を考えた。しかし仗助の事を考えて断念、と思いきやそれなら世話できる兄弟が沢山いるしいいんじゃないの?とうちのお母さんが言ったそうだ。…気楽すぎだろホリィママ。
しかも空条邸を貸し出して自分は貞夫パパの公演に付き添うことにしたらしい。…いつも私も行きたい!って言ってましたもんねー。
で、お祖父ちゃんと朋子さん、そして跡継ぎになるらしいジョージ(二世)さんを連れ三人はイギリスへ。うちの両親は公演へ旅立っていったのでした――。

結果、空条邸には私含め六人での同居が始まったということらしい。


「それにしても皆思い切りよすぎだろ…」


自分で纏めつつよく分からんな、と乾いた笑いが出る。…まあ、とりあえず現状が把握できただけマシか。


「それにしても…」


面白いことになったものだと思う。世界を再構築しただか何だかよく分からんがこの世界を作り出した人間は何を考えているのだろうか。まあ、嫌な世界ではない、気がする。だって皆笑い合えてるし。それでいいじゃんね。
…あ。


「DIOとかどうなってるんだろう」


混乱しててど忘れしてたが話には出てきてなかった。居ないとなると困る。…いや、別段生活的には困らないが嫌だ、ものすごく嫌だ。
そんなことを考えていると外から車の音が聞こえた。それも何台分も。


「人が考え事してるっていうのに…」


文句を零しながら庭に面している窓から外を覗く。車はどうも引っ越し会社のものらしい。大名行列のようになっているそれを順に眺めて言って、私は大きく口を開いた。
…家族構成だけで環境はあまり変わっていないと思っていたがそれはどうやら私の勘違いだったらしい。隣には我が家とは対照的な豪奢な洋館が建っていた。あそこ、うちと同じような感じだったと思うんだが。
呆然としていると洋館から二人の人間が出てきた。大きな人と華奢な少年。二人とも綺麗な金色の髪で、…少年の頭にはコロネのようなものが乗っている。


「DIO?」


庭の境目まで来たその人は、確かにDIOで、その隣に居るのはジョルノに間違いなかった。思わず名前を零せば、聞こえたのかDIOは顔を上げて僅かに目を見開いた。


「…名前か」

「…う、ん」

「なんだその間抜け面は。前にあった時より成長したと思ったが相変わらずの様だな」


馬鹿にするような鼻で笑う笑い方は変わらない。それでも、日の光を受けて尚凛と立っているその姿に私は涙を滲むのが抑えられなかった。


「私に会えたのがそんなに嬉しかったのか?」

「ん」


ごしごしと目を拭いながら素直に頷けば少し狼狽したようにDIOはWRY…と唸った。

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