神隠しの少女 | ナノ






眉を顰めた承太郎にラバーソールがヘラりと笑いかける。

「でもさあやっぱ承太郎先輩もお年頃だしー?そう言う話気になっちゃうっしょ?」
「俺は別に…」
「俺は気になっちゃうね!なんか面白そうな話してんじゃねえか!」
「お、やっぱ男の子だし気になっちゃうよねー」
「おう!このポルナレフ様を抜いてそう言う話すんなんて狡いぜ!」
「何が狡いのさ」
「いいからいいから!聞かせろよー」
「ボクとしては女性がそう言う話をするのは…どうかと思うな」
「そういうお前もちゃっかり付いてきてるじゃないか」
「うるさい」

いつの間にか三人ともコーヒーを手にこちらに来ていた。なんだかんだ言いつつ気になっているのだろう。…お年頃だねえ。
ネタがネタだけに承太郎と典明君に聞かせるのはどうかと思うんだけど…。怒りそうな保護者たちは今居ないしなあ…。仲良くなる為の第一歩と言うことにしてもいいだろう。というかね!本当気になって気になって早く話したいんだよね!

「じゃあ…ジョセフおじいちゃんやアヴドゥルさんには内緒だよ?」

唇に人差し指を当ててそう言えばポルナレフが大きく頷いた。承太郎と典明君は何も言わないが、肯定の意と受け取るぞ!

「…ダン君のスタンドってダン君が感じたものを強くして相手に与えるわけじゃない?」
「ああ」
「じゃあさ、…女の人とベッドインした時にスタンド使ってたら使われてる相手は滅茶苦茶気持ちいいんじゃないかなって」
「なっ!」

短い叫び声が上がって皆一斉に典明君の方を見る。ここまで直接的な話だと思ってなかったのか、真っ赤になった彼は恥ずかしそうに顔を伏せた。

「やだ…花京院かーわいい」
「なんだお前童貞か?それなりに綺麗な顔立ちなのに」
「そ、そんなこと言う必要ないだろ!」
「経験はたくさん積んどいたほうがいいぞー」
「てめえはやり過ぎだけどな」
「んだよデーボの旦那も童貞か」
「んな訳あるか糞が」
「それなら俺は承太郎が気になるね!それこそよりどりみどりだろー?」

ポルナレフの言葉に今度は承太郎に一斉に視線が集まる。承太郎は大きく舌打ちを一つした。

「黙秘権を使用するぜ」
「え!まさか…」
「お前そのなりで…?」
「スター…」
「分かった分かった!この話なしな!」
「…で、結局のところどうなのよダン君」
「さあな。そんな下らないことに私がスタンドを使うわけないだろう」
「ってことは本当に気持ちいいかもしれない訳だ」
「…まあ、可能性はあるな」

ダン君の言葉に(一部の)男たちの目が輝いた。

「何事も経験だよな!」
「ダンちゃん今晩俺とナンパいかない?」
「あ、俺も行きてえなあ」
「馬鹿野郎、ここは一番経験豊富な俺が行くのがどれだけいいかよく分かるに決まってんだろ」
「いやいや…てめえみたいなおっさんじゃ間違って腹上死しちまうかもしれねえだろ。ここは若い俺が…」
「その電柱見てえな頭でナンパなんかできるのかよ」
「やっぱここはハンサムな俺が!」
「「誰がハンサムだボケェ!!」」
「わあ、醜い争いが勃発したぞー」
「お前のせいじゃねえか」

呆れた様にデーボさんがコーヒーを啜る。ダン君も少々引いた顔をしていた。

「…もし試すにしてもこいつらには絶対に頼みたくないな。終わった後も煩そうだ」
「確かにねえ」
「で、そこで固まってる二人は大丈夫なのか?」
「え?」

…振り返ると真っ赤になって固まったままの典明君と、気まずそうにそっぽを向いている承太郎の姿があった。

「やだ、可愛い…!」
「でけえ図体で恥じらう男二人可愛いってすげえ感性だなお前」
「それで純情だから可愛いんじゃないですか!デーボさんは分かってないなあ」
「分かりたくねえよ」
「まあ私は弄りたくなる気持ちは分かるな」
「うるせえ黙れ」
「恥じらいつつ言われても怖くないぞ承太郎」
「殴る。ぜってえ殴る。覚悟しとけよ」
「おーおー怖い怖い。そう言うところはまだまだガキの様だなあ?」

ニヤニヤと笑うダン君と睨みつける承太郎。困ったような顔をする典明君にデーボさんがそっと菓子を差し出していた。
わいわいと集まって騒がしくなった彼らを眺めつつ、これで仲良くなれたらいいなあ、なんて思ってしまう。だってほら。なんだかんだ皆楽しそうだし。うんうん、やっぱり男同士仲良くなるには猥談が一番だよね!…いやだな、混乱の収拾が面倒くさくなったから現実逃避してるわけじゃないですよ?




馬鹿みたいな話で盛り上がろう
…結局のところ気持ちいいのかどうか気になるなあ

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