神隠しの少女 | ナノ






「本当に、考え直す気はないのか」
「ごめんね承太郎…もう決めたんだ。彼も私の家族の一人だから」

「お前は…本当に馬鹿だな」
「そう言わないでよ。…大切な兄の為に少しくらい力にならせて欲しいんだ」

「はじめまして、リゾットさん」
「お前が…?」


時の歯車は、止まることなく進んでいく。


「杜王町?そこに誰が居るって?」
『俺達の叔父、だそうだ』
「わーお。…ごめん、なんて言ったら良いか分からないや」

「あんた達が俺の甥っ子と姪っ子〜!?」
「はじめまして叔父さん?」

「相変わらず面倒事に巻き込まれる奴だな、お前は」
「本当にね。そろそろお祓いにでも行くべきか本気で悩んでるよ」
「まあ、なにかあったら直ぐに言え」
「ありがとうDIO。…全く、本当嫌になるよ」


星の痣を巡る運命は否応もなく、絡み付く。


「だから私は君が嫌いだ」
「だから私は君が好きなんだよ」

「後悔?しないね。いつか臓物ぶちまけて惨たらしく死んでも、ね」
「あんた…面白い人ですね」
「私からしてみたら君の方が面白いけどなあ」


それは、まるで戒めの鎖の様に。


「あんたが、どんなんだって。嫌いに何てなれねえっすよ」
「…優しいね」


棘をも恐れる事の出来ない芳しき薔薇の蔓のように。


「…茉莉香、?」
「…吉影さん。お久しぶりです」


奇妙な縁に、引き摺られて。


「正直ね、私あなたみたいな人が大っ嫌いなんです。…殺してしまいたいほどにね」


愛も憎悪も巻き込んで。


「ねえDIO。私は…酷い人間だね」
「…そんなこと、今更だろう」


踏み出した先にあるものは。


「何もかも奪われて尚、生きたいですか?」


まだ、誰も知らない。



舞台の幕はまた開く
喜劇か悲劇か踊る彼らも知らぬまま

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