神隠しの少女 | ナノ
×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -






エドフで一泊し、明日ルクソールに向かう運びとなった。部屋割りはアヴドゥルさんといっしょだ。

「私と一緒で大丈夫か?ジョースターさんや承太郎との方が気兼ねしなくていいだろう」
「お気遣いありがとうございます。大丈夫ですよ。アヴドゥルさんとお話もしたいですし」
「そうか?ならいいのだが」

荷物を置いて、先にベッドに寝転んでいたイギーの背を撫でる。初めは嫌そうに唸っていたが、マッサージするように揉んでやると気持ち良かったのか目を細めた。

「…驚いたな、イギーが人に懐くとは」
「昔から動物には懐かれるんですよね。DIOのところのハヤブサにも一番初めに懐かれましたし」
「DIOの所と言うと…」
「ええ、ンドゥさんが言ってた氷のスタンド使いですね。かなりの実力がありますよ」
「君と一緒なら通れるのかな?」

にやりと笑うアヴドゥルさんに笑い返す。

「さあ…どうでしょう。賢い子ですから」

ポケットからコーヒーガムを取り出すとイギーが起き上がる。

「イギーお座り!おーすーわーりー!」
「ウガガ!」

襲いかかってくるようなことはしないが、全くいうことを聞かずに私の手からガムを奪おうと立ち上がってくる。なんとか躱していたが、結局ジャンプしたイギーに取られてしまった。懐いてくれてはいるが言うことを聞いてくれる気はサラサラないのだろう。伏せてガムを噛み始めた背中に顔を埋めると、砂と犬の匂いがしてなんだか落ち着く。

「くさっ!」

私とは対照的に気にくわなかったらしいイギーに至近距離でおならをされて慌てて顔を上げる。そんな私にアヴドゥルさんは声を上げて笑っていた。プスーとため息を吐くイギーとアヴドゥルさんを見比べて私も笑ってしまう。


「後残りの敵は…オシリス神、バステト女神、ホルス神、セト神、アトゥム神か」
「アトゥム神の本体はテレンスさんって言うんだけど…彼はDIOの身の回りの世話をしてるから館から出るってことはないと思うよ。ホルス神も門番の役割があるから…」
「じゃあ直近で来そうなのはオシリス神とバステト女神…あとはセト神かな?」
「典明君だいせいかーい。…後館にはカードの暗示がないスタンド使いが二人いるけど…これも館からは出ないと思うなあ」
「なんだよ!そんな奴らもいるのかよ!」
「うん。でもまあ一人はテレンスさんと同じでDIOの世話してるし、もう一人は館の守備みたいなもんだから。もっと近づいてから説明するよ。混乱しそうだし。ポルナレフが」
「んだとこら!」
「ポルナレフうるさいぞ」
「今のはどう考えてもこいつが悪いだろうよ花京院!」
「まあまあ。では次に来るスタンド使いは誰だろうな」
「うーん…それは分かりませんけど。ただオシリス神は賭けに乗らない限り攻撃方法がありませんし、バステト女神は怪しいものに触らなければ問題ありません。セト神が一番問題ですね」
「怪しい物ってなんだよ」
「変な所にあるコンセントとか。それに触ると磁力が発生するんだよね」
「磁力〜?なんかパッとしねえなあ。強いのかよそれ」

ポルナレフの言葉に皆確かに、と言う顔をする。普段気にしていないものだからイメージもわきにくいのかもしれないが。手に持っていたナイフをポルナレフの顔に向ける。

「そうだなあ、これがいきなり飛んできたらどうする?」
「んなもん叩き落としゃあいいだろ?」
「じゃあ、このレストラン中のナイフやらフォークやら鉄を含む物が四方八方から一斉に飛んできても同じこと言える?」

刃物が一斉に向かってくる想像をしたのか、皆がごくりと唾を飲んだ。

「磁力って言うのはそう言うものだよ。油断して触ったらサボテンみたいになりかねないから気を付けてね?」
「だがコンセントと言うと…難しいな。ここにだって幾つもあるし」
「ですねえ。ただ向こうも触られなければ手の出しようもないし…思わず触っちゃうようなところに仕掛けてくるとは思いますが」

岩に張り付けるとかな!そんな所にあったらつい触っちゃうジョセフおじいちゃんの気持ちもよく分かるが、これだけ言っておけば大丈夫だろう。

「もし見つけたら周囲を警戒してね。範囲も広いけどスタープラチナの目なら見つけられると思うし」
「分かったよ」
「あー…おれ自信ないかも」
「そんなだからお前は何時も狙われるんだぞポルナレフ」
「へいへい、精々気を付けますよ」

セト神に関しても一応説明はしておいたが、実はこれに関しては余り心配していない。…だって、ねえ?彼の能力は色々と見過ごせないものが有るじゃないですかー。
にやりと笑った私に誰も気が付いてないといいのだけれど。

[ 2/3 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]