神隠しの少女 | ナノ
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ゆるゆると体を揺すられる。…誰だろう、ディアボロの声じゃあない。

「さっさと起きろ」

バチン、と額を叩かれてその痛みに思わず目を開けた。開けた視界に苛立たしげなDIOの顔が映る。

「DIO…」
「起きてそうそう随分と間抜け面だな」

鼻で笑うDIOの肩を殴りつつ周りを見渡した。そこは見慣れたDIOの寝室で。…ああ、そうかさっきまでのは夢だったのだと気付いて大きく息を吐いた。

「魘されていたな」

少しヒヤリとするDIOの手が私の目尻を撫でて、そのまま髪の毛を弄る。手の動きから自分が泣いていたのだと気付いた。その手を取ってキュッと握る。

「…うん。嫌な夢見て」
「そうか」
「お祖父ちゃんが死ぬ、ちょっと前の頃かなあ」

手が震える。また涙が滲みそうになって目を閉じた。そのまま少しジッとしていると、グイッと手を引かれてそのままDIOの胸板に顔を押し付けられる。

「ふん。お前は存外弱い所があるな」
「悪かったねー…」

悪態を吐きながらも私の背を撫でるDIOの手に少しづつ落ち着いていく。

「ねえDIO、…一人にしないで」

ぽつりと零した私の言葉に一瞬DIOの手が止まった。

「馬鹿なことを言う。人間など元々一人だろう」
「…そうだけどそうじゃなくて」

分かっているくせにそんな意地の悪いことを言うDIOの腿を抓る。痛くもないくせに払おうとするDIOの手から逃げては抓ってやる。何度かそんな攻防戦を続けている内に笑えてきた。
ついに手が掴まって、大きな手の中に覆い隠される。最後の抵抗とばかりに掌を抓ってやろうとしたら力を籠められる。みしみしと不穏な音を立てられて慌ててギブ!と叫べば、指を絡ませられた。

「お前はいい暇つぶしになるからな。今の所逃がしてやる予定はない」
「暇つぶしって玩具じゃないんだから。…それに別に逃げる気もないし」

まあDIOの所有物でもないんだけれど。私の言葉を鼻で笑うDIOを見上げつつ彼なりの優しさに頬が緩む。

「…不細工だな」
「失礼千万だな」

手を離して殴れば易々と受け止められる。悔しい。

「それよりも寝るぞ」
「えー」
「お前がうるさいせいで目が覚めた。まだ私は寝足りん」
「あー…」

言われてみれば私もまだ寝足りない気がする。とは言え意識はしっかり覚醒してしまったのだが。このままもう一度寝るか悩んでいると、DIOに抱かれたまま無理やり横にされる。初めは悪戯をしかけてみたりちょっかいを出すが、DIOに総スルーされて飽きてきた。動きを止めてジッとしているとまた睡魔が戻ってきたようだ。

「…おやすみー」

重たくなった瞼に逆らうことなく従う。DIOの厚い胸板に額を擦り付けて、今度こそ悪夢は見ないだろうと思いながら意識を手放した。




何時までも側に居て
一人にするのはお前の方だろう、と彼が呟いたのは夢か現か

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