「でもまあ…次に来るやつならなんとなくは知ってるぜ」
ラバーソールの言葉に承太郎は無意識に背筋を伸ばした。
知っている、というのはどこまでだろうか。今までの戦いで相手のスタンドの情報があるかないかで戦況が変わってくるのは自覚している。仲間たちもそうだろう。ピリッとした空気が流れる中ラバーソールは口を開いた。
「次お前らの命を狙ってくんのはエンペラーとハングドマンだ」
誰かが鸚鵡返しにその名を呟いた。
「エンペラーのスタンド使いの名前はホル・ホース。拳銃のスタンドの使い手だ。どっちかってーと暗殺向きのスタンドだな」
何も刺さっていない串で皿のたれを弄りながらラバーソールは続ける。
「銃はスタンド体だから出し入れ自由。人込みに紛れ込まれっとキツいかも知れねーな」
「もう一人は」
ジョセフの言葉に手を止めたラバーソールがどこか苦々しげな顔をした。
「ハングドマン…J・ガイルのスタンドについてはよく知らねえ。ただ、鏡を使うスタンドだってだけだ」
「鏡?」
「ああ。正直話に聞いたことだけど…まあ、下手したらお前ら手も足も出ねえよ」
その言葉に周りが殺気立つ。しかしラバーソールは意に介した様子はない。
「で、このJ・ガイルだが。ポルナレフ、お前が捜し求めてる奴だ」
「なん、だと」
「捜してんだろ?…両手が右手の男」
ポルナレフが大きく目を見開いた。承太郎たちも誰も動かない。
「俺としてはさっさと始末してほしいけどなあいつ」
「…どういうことだ」
金での繋がりとはいえ一時は協力状態にあったのではないのか。
「…茉莉香がさ、嫌いなんだよなああいつ。まあ俺も嫌いだけど」
てか好きな奴がいねえわなとラバーソールは小さく笑った。
「…どういうことだ。茉莉香とそいつは会ったことがあるのか」
「ん。つっても二回かそこらかね」
「あいつがいる時は来てもDIOの部屋に籠ってたからな。多分それくらいだろ」
「何かされたってわけじゃ、ねえだろうな」
承太郎の脳裏にポルナレフから聞いた妹の話が蘇る。もしも茉莉香がJ・ガイルと言う男に何かされていたとしたら?背筋がスッと冷えた。それに反して脳みそは煮えたぎるような感覚に襲われる。
しかしラバーソールは問いかけに軽く肩を竦めた。
「だとしたら今頃あいつ生きてねえよ」
「DIOに殺されてんな」
デーボが低く笑った。それに対してポルナレフが突っかかる。
「ちょっと待てよ」
「んー?」
「J・ガイルの野郎はそれなりに腕の立つ野郎なんだろ。それをそんな簡単に切り捨てんのか」
茉莉香の為に、とポルナレフは続けた。
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