「では、茉莉香達は明日の便で日本に帰りなさい」
「え?私は帰らないよ?」
ジョセフおじいちゃんの言葉に素で突っ込むと、凄い嫌そうな顔をされた。…分かってたけど落ち込むなあ!
「言った通りだったな」
「この状況で帰る筈ないだろー」
デーボさんとラバーソールはのんびりトランプをしながら適当なヤジを飛ばす。…優雅だなおい。ていうかそのトランプ何処から持ってきたのよ…。
「…危険な旅じゃ。お前はホリィと一緒に家に居なさい」
「嫌。大体私が家にいるならそこの二人をわざわざ家の警護に引き抜いたりしないよ」
「しかし…」
「ジョセフおじいちゃん。前にも言ったよね…私は、皆もDIO達も失いたくないんだ」
私の言葉に扉の前に佇んでいたポルナレフの眉が顰められた。しかし、そんなことは関係ない。
「その為には皆と行動した方がいいと思う」
「…お前の我儘をきく義務はわし等にはない」
「そうだね。連れてってくれないならそれでもいいよ。…自分で勝手についていく」
私のスタンドがどういうものか知っているだろう、と言外に匂わせる。ジョセフおじいちゃんの顔が増々苦いものになっていった。
「しかし…」
「私は、もう家族や大切な人を失いたくないよ」
言葉を遮ってそう言い切れば、場が一度静まり返った。それを壊したのは承太郎だ。
「いいじゃねえか」
「承太郎…じゃが」
「言い出したらきかねえしな。目の届かねえところでうろちょろされるよりはマシだ」
「承太郎…!」
あ、どうしよう泣きそうなくらい嬉しいぞ。
「…付いてくる以上言うことはちゃんと聞けよ」
「イエッサー!」
力強く敬礼すれば、ぐしゃぐしゃと頭を撫でられる。…ああ、久しぶりの感触に本当に泣いてしまいそうだ。
「良い空気ん所悪いんだけどよ」
「…本当に空気読まないな」
「悪いって!…俺とおっさんどこで寝りゃいいの?茉莉香の部屋だって取ってないだろ」
「…忘れとったわ」
「マジか」
結局デーボさんとラバーソールは空いていた部屋に別々に押し込まれた。ちなみにそれぞれ一応の見張りとしてポルナレフと典明君が付いている。…そうなると私は必然的に。
「承太郎。起きてる?」
「ああ」
「そっか。…あのさ、付いてきていいって言ってくれてありがとう」
その言葉に背を向けていた承太郎がこちらを向いて。
「…怪我したらすぐ送り返すからな」
「そしたら勝手に追ってっちゃうもん」
私の言葉にため息をついた承太郎が起き上がって私のベッドに座った。そして、私の額を軽く叩く。
「…ばーか」
本当は違う何か言おうとしていたのは分かったけれど。私はそれを尋ねることもなく、笑っておいた。…心配かけてごめんね、とは言えなかったから。
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