神隠しの少女 | ナノ






未だ険しい顔をした承太郎やジョセフおじいちゃんから顔を逸らす。その時私のお腹が情けない音を立てた。

「お土産は?」
「お、忘れてた!」

差し出された袋には色々な食べ物が詰まっている。その中の一つを取り出しているとラバーソールが変な効果音を付けながら何かを差し出してきた。
…ヤシの実である。ストロー付きの。

「どうよ!」
「ああうん。ありがとう」

それだけかよ!と嘆くラバーソールを尻目に一口含む。…前にDIOと遊びに来たときにも飲んだけどそこまで美味しくもなけりゃ特筆して不味くもないよねこれ。

「オレは普通の飲みもんでいいんじゃないかって言ったんだがな」
「いや、いいんだよデーボさん。ほら、子供ってこういう目新しいもん好きじゃん?」
「どういう意味だよ!」
「そういう意味だよ」

ぎゃんぎゃんと騒ぐラバーソールを軽くあしらいつつとりあえず食べ物を胃に詰めていく。ある程度満腹になったところで残りはスタンドで隠しておいた。…ほら、そしたらまた食べれるじゃん?
自分の貧乏性に悲しくなりつつ佇まいを整える。

「で、どんな話をしてきたのかな?」

デーボさんが淹れてくれたコーヒーを受け取って、向き合う。

「この二人は正式に雇うことにした」
「そっか…」

ジョセフおじいちゃんの言葉に肩の力が少し抜ける。やっぱり雇わないで身柄を拘束されてもおかしくはなかったしね。そうなってもこうなった以上二人が無理に逃げたりはしないとは思うが、やはり彼らが拘束されるというのは少し嫌だった。

「今後のスタンド使いについてじゃが…この二人のように面識があるものも多いらしいの」
「まあ…」

思わず言葉を濁しつつ曖昧な笑みを浮かべる。いや、流石に全員雇ってくれなんて言いませんよ?

「今後茉莉香と面識のあるスタンド使いと出くわした場合…なにか希望はあるか?」
「希望…」

…とりあえず、生きてさえいてくれればいいからなあ。

「まあ、財団の方で身柄を保護、してもらえたら嬉しいかな」

拘束、という言葉は使いたくなかったのでそう言えば、ジョセフおじいちゃんは大きく頷いた。

「雇ってくれと言われたらどうしようかと思ったわい」
「そこまで非常識じゃないよ!」

私の言葉にジョセフおじいちゃんはけらけらと笑った。…分かってって言ったなこの人。

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