一瞬即発の空気の中、口を開いたのは黙っていたデーボだった。
「おい」
「ああ!?」
「あいつは、んなこたしねえよ」
静かな語調にデーボに視線が集まる。
「絶対にな」
「なんでんなことが言えんだよ!」
「…じゃあ逆に聞くがお前の言うとおりだったとして、なんであいつがお前らの前に出てくる必要があった?」
その問いに言葉が詰まる。
「芝居、とかよお」
「母親人質にするだけなら別に芝居打つ必要なんざねえだろ。スタンド使い何人かで攫っちまえばそれで終わる話だ」
今度こそ何も言えないオレにデーボは冷たい目で睨みつけてきた。
「確かにDIOの野郎と茉莉香は仲が良かったぜ?アホみてえにな。だけどよ、あいつは家族は裏切らねえ」
その言葉に承太郎たちは心当たりがあったのかそれぞれ何とも言えない苦い顔になる。オレ一人が置いてきぼりの様だ。
「そうじゃな茉莉香は、あの子はわしらを裏切ったりはせんよ」
「ジョースターさん…」
沈黙が部屋の空気を支配する。その後誰も口を開くものは居らず、茉莉香がラバーソウルという男を連れて戻ってくるまで気まずい空気が横たわり続けた。
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