神隠しの少女 | ナノ






「いやね?うちにスタンド使いが乗り込んできてさー」
「なっ!」

腰を浮かせかけた承太郎とジョセフおじいちゃんに座るように手を動かす。

「もう撃退したから問題は無いんだけどね?」
「…お前がやったのか?」
「ん?ああ、まあね」

とりあえず言葉を濁しておく。この慌て様を見るに財団は連絡をしてなかったらしい。まあ、されても心配要素が増えるだけだし、戻ってこれる訳でもない。多少の被害が出たとは言え私とお母さんが無事な以上連絡の必要はないと判断したんだろう。

「で、お母さんの体の問題は無くなったっぽい」

私の言葉に場が再度ざわめいた。それが落ち着くのを待ってから言葉を選びつつ話し出す。怪我したとか言ったら煩そうだし。

「スタンド使いが襲撃してきて、お母さんのスタンド能力が開花したみたい。今はその反動で極度の疲労状態だけど熱とかは下がったよ」
「そうか、そうか…!」

ジョセフおじいちゃんが涙ぐみながら何度も頷く。その仕草にどれだけ心配していたかが分かって胸を打たれた。

「…そうなると、どうするんですか」
「何がだ」
「…ぼくらはホリィさんを救うために旅立った。そのホリィさんが回復したんだ。…このまま旅を続けるのか?」

典明君の言葉に場が静まる。…私としてはこのまま旅を止めて欲しい。しかし。

「そうはいかねえ。DIOの野郎の身体の件は済んでねえ」
「それにDIOの脅威を見逃すわけにはいかない」
「ああ。あいつを野放しにしておいてはどれだけ被害が出るかも分からん。それに一度ワシらを敵とみなした以上これかっらも襲撃は続くじゃろうしな」

そう言ってジョセフおじいちゃんは力強く頷く。…こうなるとは分かってたけどさ。ここで終わって欲しかったよなあやっぱり。
こっそりため息をつけばデーボさんにわしわしと頭を撫でられた。その優しさが心に沁み入ります…。
さて、お母さんの件が一段落した所でここに来た本題を切り出そうか。

「…でね、デーボさんに我が家の警護を頼もうと思って来たら丁度皆に出くわした訳ですよ」

そう言えば唖然としたように皆が目を見開いた。…確かさっき言いましたよね。お母さんの件で頭からすっぽ抜けたってかちくしょう。

「えーと、デーボさんのスタンドについて知ってる方は」

私の言葉にアヴドゥルさんが口を開いて説明してくれる。その間デーボさんは嫌そうにしてた。…まあ職業柄自分の能力知られてるって言うのは嫌だよね、うん。

「アヴドゥルさんの言う通りデーボさんのスタンドは基本攻撃を受けてからが本領発揮です。しかも基本攻撃をした相手にのみ適応される訳で。つまり、攻撃しない限りは恐ろしい程脅威って訳ではありません」

そこまで言うとガシリと頭を鷲掴まれた。

「痛い、痛い…!」
「イラっとした」
「仕方ないじゃん!事実じゃん!」

頭がギリギリ言ってるよ!承太郎が腰を浮かせかけた所で手が離れる。…へこんでないよな。触って確認しつつ一つ息を吐く。

「あー…、でですね。財団の方が攻撃しない限りデーボさんは家においてもあまり問題はありません。だけど襲撃してきた際にデーボさんが攻撃されてくれればなんて素敵な戦力になるんでしょう!ってことでスカウトしに」

なんかざっくりした説明だけどまあいいや。頭に血が回ってないってことで。

「…しかし、彼がそういった行動に出てくれるかは分からんだろう」
「そこはまあ、ビジネスライクに行こうかと」
「ビジネス?」
「うん。デーボさん」
「ああ」

…なんで凄まれてるんだろう。あれか、脅威じゃないとか言ったのまだ根に持ってるのか。いい年した大人が執念深い。

「えー、と。この状況下でデーボさんDIOからの仕事遂行できる?」
「…まあ無理だろうな。スタープラチナだのシルバー・チャリオッツだのは奇襲じゃねえと厳しいだろ」

…デーボさんって案外冷静な判断するよね。まあ、そうじゃなきゃ生き残れない環境だったんだろうなあ。

「と、いうことはDIOからの仕事は破棄するしかないねえ」
「そうなるな」
「ということはフリーな訳だ」
「だな」

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