神隠しの少女 | ナノ






私の言葉に呆気に取られるポルナレフと、舌打ちしながら肩の力を抜いたデーボさん。どうやらデーボさんはここで戦うのは不利だと思ったらしい。
まあ、ポルナレフさんが攻撃を仕掛けてきたら反撃するんだろうけど。つまり、今の私が取れる選択肢は二つ。このまま逃げるかポルナレフと共に承太郎達に会うか。

…このままとりあえずラバーソールも拾って一旦日本に帰りたいなー。でもそうするとポルナレフさんに要らない疑惑を持たれるかもしれない。いや、今の時点で持たれてるだろうけど。うーん、それならいっそ承太郎達に会おう。ジョセフおじいちゃん辺りが上手く説明してくれるだろうし。
っていうかそろそろ承太郎とお話したい。え?まだ離れてから一週間程度だろって?船で見かけただろって?ブラコンなめんな、パッと見ただけで満足なんざする訳ねーだろ!

「あの」

呆然としつつも警戒心は萎えていなかったのか声を発した私にポルナレフが剣先を向ける。それに反応してピクリと身体を動かすデーボさんを繋いだ手に力を入れて制する。

「とりあえず、承太郎達に会いたいんですが」
「…承太郎の知り合いかお前ら」
「私だけですが一応知り合いです」

知り合いって言うか家族だけど。ポルナレフは怪訝な顔をしながらも内線で承太郎達に連絡を取る。
もちろんその間もシルバー・チャリオッツはこちらを向いているし警戒を怠らない。普段弄られ役だけど、こういう所を見ると彼も修業を積んだスタンド使いなんだな、なんて思ってみたり。

「おい」
「え?あ、はい、私ですか?」

いきなり声を掛けられて慌てて返事をする。そんな私に呆れたような顔をしながら名前は?と聞いてきた。

「茉莉香です」
「茉莉香だってよ」

受話器に向かってそう言ったポルナレフが次の瞬間耳から受話器を離す。なんだか承太郎の怒声が聞こえた気がするが気のせいということにしておこう。

「うるせえよ!…ああ。ああ」

二言三言会話を交わすとポルナレフが電話を切ってこちらを向いた。

「部屋に連れて来いってよ」

怪しい動きしたら串刺しにするぞ、なんて過激な言葉を告げるポルナレフに頷きつつ、承太郎に会えるのが嬉しくてうきうきと歩を進めるのだった。
一週間ぶりの承太郎ですよ皆さん!!!
まあ、そんな思いも部屋に辿り着くまでの数分間だけだったんですが。

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