神隠しの少女 | ナノ






頬を染めたマライヤさんを見て微笑ましい気分になった。…ちなみにもう右手は痛覚がマヒしてるのかジンジンと痺れたような感覚しかしない。
ベッドに転がされたかと思えばDIOの膝に頭を乗せられた。

「だから君の膝枕には高いし硬いって…」
「だまれ」
「…シーツ汚れるよ」
「構わん」
「あー、…さっきも言ったけどごめん」
「次はないと思えよ」
「えーっと、それはどういう意味で?」
「次この様な事があったら…どこにも行けなくしてやろう」
「スタンドいるのに?」

私の言葉にDIOが笑う。それはもう、壮絶なまでの妖艶な笑みだ。

「…手足が無くなれば一人では何もできまい?」

私の傷口を指で撫でながら、目を細めるDIO。わー、DIOさん過保護通り越してヤンデレー!などとは笑えない。なんせ彼の目は真剣そのものなのだから。

「以後、気をつけます…」

乾いた笑いを零す私にDIOは満足そうに笑った。

「…まあ、お前にはあまり期待してないがな」
「どう言う意味だい!」
「お前の小さな脳味噌で約束事を守れるとは思っていない、ということだ」
「そんな深々とため息つかないでよ!悲しくなるよ!っていうか私にも言い分はあるよ!」
「言い訳か」
「言い訳じゃないよ!言い分だよ!っていうか悪い所はちゃんと謝ったんだから私の話も聞けコノヤロー」

結局DIOに傷を治してもらいながら一部始終を話す。所々諦めたようにため息をつくDIOは本当に失礼だと思う。っていうか。

「君が舐めただけで傷がみるみる消えるってどういう原理なわけ!?」
「吸血鬼となるエキスを少し与えただけだ」
「え、ちょ、それ困る!」
「落ち着け。そんな微量では傷を塞ぐ程度の効果しかない」
「じゃあ、日光浴びても平気!?ちゃんと背伸びる!?160cm以上になる!?」
「お前の背がどこまで伸びるかは知らんが日の光は平気だろう」

DIOの言葉にホッと息を吐く。よかった、吸血鬼になったら困る。承太郎達になんて説明したらいいかわからないし。
てか指でもいいんじゃないか。わざわざ舐める必要は有ったのか。嫌がらせか?それとも動物的な親愛表現か?考える程謎が増えていく。

「頬はどうする」
「遠慮します」

舌だろうと指だろうと口の中に突っ込まれるのはごめんだ。ホリィママには心配かけてしまうが転んだと言おう。っていうか治そうと思ってくれるなら始めから叩くな。その時コンコン、とノックの音が響く。口を開かないDIOの代わりに返事をするとマライヤさんが立っていた。

「あの、これ」

私に氷嚢を差し出すマライヤさんの視線はうろついてる。…こんなマライヤさん初めてだなぁ。いつも睨まれてたし。ちょっと悲しくなりながら遠い目をしてしまう。

「茉莉香!」
「はいっ!?」

いきなり大声で呼ばれて飛び上がる。マライヤさんの方を向けば顔を赤くしながら、こちらを見ていた。

「あ、ありがとね」

…美人さんのツンデレってこんないいものなんだなぁ。とても幸せな気分になれました。DIOにまた叩かれそうだけどぶっちゃけこれだけで怪我しただけの価値は有ったと思う。
なんだかよく分かりませんがこの事件の後マライヤさんを筆頭に女性陣と仲良くなれました。うれピーね!


かくも恐ろしきのお話

[ 4/4 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]