神隠しの少女 | ナノ






辿りついた広間には、普段よりもかなり人が多い。というか(この館では)見たことが無い人が何人かいる。こちらを何とも言えない表情で見る兄弟と男、そして私をジトリと睨む綺麗なお姉さんが二人。オインゴ・ボインゴ兄弟とアレッシー、そしてマライヤとミドラーだ。…美人さん二人の視線が痛い。
DIOの腕を叩いて降ろしてもらうと、とりあえず近場に居たラバーソールの側まで走る。ラバーソールは、お姉さま方の視線に気付いているのか苦笑気味だ。

「よ、久しぶりー」
「ここ最近毎日来てたけどね!」
「そうなの?おれ知らないよ?」
「基本朝早く来て昼前には帰ってるから」
「ああ、この館に住んでると基本昼夜逆転生活しなー」

私の髪を弄りながらラバーソールはけらけらと笑う。…前から思ってたがこいつ髪の毛いじるの好きだな!?まあ、後ろで結ばれた髪の毛に痛みは見えないしマメなんだろう、うん。…(スタンドが)良質なたんぱく質を摂取してるからか、なんて思ってないよ!
そうこう話している内にエンヤ婆とテレンスさん…J・ガイルが入ってきた。

「おや、DIO様…お食事が終わってから来られるのでは?」
「もう済んだ」
「そうですか。ああ、茉莉香も来てたんですね」
「お邪魔してまーす。あと、エンヤ婆お久しぶりです」
「うむ、久々じゃな。DIO様もお久しゅうございます。お元気そうで何よりですじゃ」
「ああ、お前もよくやってくれた…。私もこうして"仲間"が増えて嬉しいよ」

…よく仲間とか思ってもない言葉がサラッと出てくるよね。DIOの目が新入りの方へと細められる。それに対し、男性陣は背筋を正し、女性陣は恍惚とした微笑みを浮かべた。わお魅力的。いっそ目がハートになっていれば笑えるが、本当に崇拝する様な笑顔なもんだから恐ろしい。
いや、真に恐ろしいのは一目で虜にするDIOのカリスマ性か。なんせ、こうしてDIOが話し出す前から私を睨んでるんだから一目もいい所だよ本当に。

エンヤ婆がDIOの前に座り広間にピリッとした緊張が走る。個人的にはあまり関係のない場だし出ていきたいが、それはあまりに空気の読めてない行動だろう。しかし座ろうにもソファやら座れる所はもう空いていない。
仕方なしにラバーソールを椅子代わりにしようとした時、DIOに手招き付きで呼ばれた。お互い無言で見つめあって数秒、折れたのは結局私の方である。渋々近寄れば案の定膝の上に乗せられた。ああ、視線が痛い。なんかもう物理的攻撃されてんじゃないかってくらい痛い。しかしそんな私を見てDIOが喉で笑ったのが分かった。
…あれか、さっきの八つ当たりのお返しか。ていうかヴァニラお前まで睨むな。ある意味見慣れた光景じゃないか…!

「さて、紹介してくれるかエンヤ婆」
「ええ。まずこちらが…」

エンヤ婆の説明を半分流しながら後ろに立つ五人を眺める。えーっと、後会ってないのは…花京院・ポルナレフ、動物と非生物合わせて11…2くらい?結構会ったつもりだけど案外まだまだ会ったこと無い人多いな。いや、これから増えてくのかも知れないけど。
とりあえずペット・ショップと仲良くなりたいです。猛禽類カッコイイ。

いつの間にか説明が終わりそれぞれDIO様に挨拶をしていた。マライヤさんとミドラーさんの目力の強さに背筋が震えたよ!DIOに向ける笑顔は蕩けそうなのにね!女の子って怖いや!

「あのDIO様…」
「なんだマライヤ」

わあ、DIOが名前呼んだだけでいい笑顔ですね!美人さんってやっぱり目の保養だわ。だからお願いだから睨まないでください。

「失礼ですがそちらの女の子は一体…?」
「ああ、これは…私のものだ、良くしてやってくれ」

…おい、今の間といい説明すんの面倒くさかっただけだろ。何人か笑い堪えてるし何人かは目かっ広げてるじゃないか。
…ああ、そろそろ見られ過ぎて身体に穴があきそうだよ…。

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