神隠しの少女 | ナノ






その後うきうきしながらホリィママが帰って来た。ケーキの箱を差し出すホリィママの顔は満面の笑顔である。

「カレーのいい匂いがする!」
「今日は承太郎も手伝ってくれたんだよ」
「承太郎が!?本当!?」
「うん」
「…足手まといだったがな」
「いえいえ、とても助かりました」
「承太郎…!」

感極まった様に承太郎に飛びつくのを微笑ましく思いながら、カレーをよそいに台所に向かう。途中うっとおしいんだよ!と叫ぶ承太郎の声が聞こえたが、多分顔は真っ赤だろう。…うっおとしいって言ってくれないんだな承太郎。
サラダとカレーを持って部屋に向かうと、そこには嬉しそうなホリィママと、やっぱり顔を赤くした承太郎がいた。

「他におかずも作ればよかったんだけど…」
「ううん!ママとっても嬉しいわ!」
「たく…ガキみてぇにはしゃぎやがって」

そう言いながらも何処か満更ではなさそうな承太郎にホリィママと二人笑い合う。素直じゃないわね、なんて聞こえてきそうだ。

「さ!ご飯にしましょ!いただきまーす」
「いただきます」
「…いただきます」

その日のカレーはいつもより美味しい気がした。




オマケ

「おい」
「なあに承太郎?」
「…いつも、美味い飯ありがとよ」

そっぽを向きながらそう言った承太郎のおかげで、その日のホリィママは本当にご機嫌だった。

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