神隠しの少女 | ナノ






「まず玉ねぎの上下を切って皮を剥く。終わったら縦半分に切ってボウルに入れて水に晒します」

喋りながら見本を見せて承太郎に包丁を渡す。真剣な顔で包丁を受け取る承太郎。もちろん承太郎用のエプロンなんてないのでホリィママのをお借りしたんだが。…つんつるてん過ぎて面白い。笑ったら不機嫌になるのは目に見えてるので堪えながら玉ねぎを渡した。…あ。

「口呼吸すると目に沁みにく…」

言うのが遅かったらしい、承太郎の目には溢れんばかりの涙が。…玉ねぎ冷凍庫で冷やしておいてあげればよかったな。涙目の承太郎にキュンとするやら可哀そうになるやらで結局残りは私がやった。

「で、次に玉ねぎをみじん切りにします」

縦に切って、それを更に横に切ってーとみじん切りにしてる間、承太郎は口呼吸だった。…確かに沁みるの辛いけどさ。ちょっと間抜けっぽいよその顔…。中々見れない承太郎のチャーミングさにお姉さんもう瀕死状態だよ!
とりあえずなんとか切り終わった玉ねぎを小分けにして袋に入れて口を縛る。やっぱり承太郎のは結構雑というか大きい。まあ、初めてとしては上出来だろう。

「で、これを冷凍します」
「炒めないのか?」
「冷凍すると炒めた時早く飴色になるんだよー」

さて、その間に洗い物してまったりしましょう。

洗い物をして、洗濯物を取り込んで。…夏ってお昼過ぎには洗濯物が乾いていいよねぇ。急に雨が降らない限りは主婦の味方だ。まあ洗濯物が増える季節でもあるけど。
おやつを食べ終わってから、玉ねぎを取り出してみればいい感じに凍っている。よし、続きをやりますか。

「まず、豚肉を炒めて、表面の色が変わったら取り出します。で、冷凍した玉ねぎとバター、摩り下ろしたショウガとニンニクを入れて中火で飴色になるまで炒めます。で、承太郎はニンジンとジャガイモの皮剥いて」

隣に立つ承太郎に説明しながら手を動かす。いつも思うけどフライパンが大きい…。やっぱり一人暮らしとか、老人と子供だけの家庭とは違うね!承太郎食べ盛りだもんね。
飴色になってきた頃、承太郎の皮剥きが終わり、ニンジンを一口大に切らせる。…包丁を扱う手が危なげでなくなってきた。器用なのはいいけど教える側としてはつまらないです、はい。ジャガイモは煮崩れするからそのままでいいかな…。

「で、飴色になったので、野菜とお肉投入!ジャガイモの表面が透明になるまで炒めたら鍋にドーン!」

…雑な解説になってしまったけど、こういう以外に言い方ってあるのだろうか。

「で、お水入れて沸騰するまで煮ます。灰汁が出たら掬って、それが終わったらコンソメ入れて一時間くらい弱火でコトコト。野菜が柔らかくなったら火止めて粗熱が取れたらルー投入。で、ちょっと煮込めばかんせーい」

最後は駆け足になったけどこんなもんだろう。細々説明する程の事でもないし。あと個人的にはチョコレート一掛け入れると味が丸くなって好きです。あ、スープ用に玉ねぎとっとくの忘れた。

「…簡単と言や簡単だが案外手間かかるんだな」
「そうだよー?料理は手間暇かけて作る程美味しくなるのです。普段美味しいご飯作ってくれてるホリィママに感謝しなきゃね!」
「…そう、だな」

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