神隠しの少女 | ナノ






だよね。こちとら中身はともかく身体はピッチピチの小学生ボディだ。多少不眠気味とはいえ、隈だのなんだのが出ているわけでもない。一体何故ばれたのだろうか。

「茉莉香の周りとテレンスが鈍いだけだろう。見ればすぐ分かるではないか」

DIOの言葉にテレンスさんと顔を見合わせる。テレンスさんの顔には戸惑いが浮かんでいた。…やっぱりDIOがおかしいんだと思います。

「で、何が有ったのだ」
「…最近夢見が悪いだけだよ。ただ、それだけ」

黙っていてもDIOは諦めないだろうから、そう答えた。中身の事は話せないし話したくない。そう思っている事を感じ取ったのかDIOもテレンスさんも何も聞かなかった。まあもしかしたら、なんとなく祖母に関することだと考えているのかもしれない。去年の事件を話していない訳でもないし。何だかんだ優しい彼らの事を困らせてしまったかも知れないな、と小さく苦笑する。

「ふん、夢如きで眠れないほど繊細な人間だったか?」
「そりゃ百年寝太郎なDIOには負けるよ」

私の言葉にDIOが何とも言えない顔になる。うん、天国に行く方法とか色々考えてはいたけど基本は体力温存の為に寝てたのも事実だもんね。

「た、ただ寝てたわけではないぞ」
「…いや、うん。知ってるからそんな真剣に言わなくてもいいよ」

…DIOって実はちょっと天然入ってるよね。

とりあえず出されたホットミルクを飲み終えると、部屋へと又抱きあげられて戻って来た。…承太郎よりは慣れてる分取り乱さずにすんだよ!
何時の間に香が焚かれたのか、普段とは違う香りが部屋に漂っていた。うーん…。

「DIO、お香消して」
「気に入らなかったか?」
「いや、気に入らないって訳じゃないんだけど」

いつも通りの方が落ち着けそうな気がするんだよね、うん。
ベッドにもそもそと入り込めば、シーツには既にお香の香りの方が強く染みついていて。空いているスペースを叩く。

「ここ、横になりたまえよ」
「何故お前が偉そうなのだ…」

呆れ顔になりながらも潜り込んできたDIOにひっつけば、やはり何とはなしに落ち着いてしまう。人間の脳味噌ってすごいね。

「DIOってさあ、いい匂いするよね」
「そうか?」

ゆるゆると頭を撫でられるにつれて、瞼が重くなっていく。ぽつりと漏らしてしまった言葉に笑いを含めながら返されても、動きが鈍くなった頭では恥ずかしくもない。ああ、DIOの言うように自分で思っていた以上に弱っていたのかもしれない。
そんなことを思いながら、ゆっくりと思考が薄れて行った。

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