もうすぐ2月。
寒さは止まるところを知らない。

ぶるりと肩を震わせれば、隣の人間がくしゃみをした。
へくしょおい!なんて、とてもじゃないが女子のするくしゃみではない。

「ねえねえ薫くん、ティッシュ持ってない?」
「……はい」
「ありがとう!」

ずびいいい、と思い切り鼻をかむ。
こいつ本当に女か?

「薫くん薫くん、宿題見せて」
「…ん」
「わ、全部やってある!すごいっ」
「………」

ティッシュも(たぶん)ハンカチも持ってない。宿題はやらない(解けない)。胡座をかく。

まったく、千鶴とは大違いだ。

「あっ薫くん、ちょっとトイレ行ってくるね」
「あと二分で授業始まるけど」
「急いで行ってくる!」



「…あ?高橋はどーした。また遅刻か?これで減点七つ目じゃねぇか」
「土方先生、彼女は保健室へ行きました。少し心配なので迎えに行きます」
「保健室なら仕方ねぇな。南雲は待って………行っちまった」

急ぐって言ったのに、何やってるんだあいつ。これ以上点下がったらまずいだろ。
南雲くんと同じ大学に行きたいなあとか言ったくせに、まったく。

呆れながら廊下を歩いていると、よたよたと走る女子生徒の姿が見えた。

「……あ、薫くん!あの、ハンカチ無くて、ちょっと遅れちゃって…ごめんなさい」
「ばか」

拳一つ頭に落とせば、小さな謝罪の声が聞こえた。



「…薫って、悠ちゃん大好きだよね」
「総司、くだらねぇこと言ってないで授業やるぞ授業」
「はいはい」




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