亜種、という種類のモンスターがいる。モンスターの異種配合によって生まれたものだ。アイルーの亜種なんてそうそういない。むしろ僕が初めてだ。僕は親のことなんて知らないからなんとも言えないが、僕の親はアイルーと人間だと思う。この二つの種の間に子供が出来ることなんてありえないはずだが。

「それで、いつ帰してくれるんですか」

 散々体を弄られ、電気を流され気を失って、耐えて。白の寝巻きを着た僕は、とりあえず人間の姿をしている。

『もうすぐだ。研究は終わっていないが、帰さなければならなくなるのでな』

 天井に設置されたスピーカーから返事が聞こえた。いつもなら機械を介した音声が流れるのに、今のは太い男の声だった。どこかで聞いたことのある――たしか。

『今日は、人の状態でクエストを行ってもらう。準備は良いか?』

 短く答えて、置いてあった服に腕を通した。この施設で唯一自分の持ち物である太刀を手に取る。軽く振って感触を確かめた。

(――おーい、悠!)

 扉が開く。目を見開いて外の世界を睨む。……夜、だ。

『ブハナブラ50匹の討伐を行ってもらう。制限時間は、特別に無しだ。心してかかれよ!』

 ガハハと笑う男の声に思い当たるものがあった。
 しかし、今は言及しないでおこう。


 目の前に広がった満天の星々は、いつか旦那さんと一緒に見たのと同じだった。

「……旦那さん」

 すうっと一筋、煌めく星が流れる。僕の頬から顎へ、一粒零れていった。
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