深雪みたいだと思った。誘われるように手を伸ばし、髪の先に触れる。

「何をする」

 手首をぎちりと掴まれた。脈を圧迫され、徐々に色を失くす手のひら。彼の髪と同じ。肌と同じ。お揃いだ。

「どうして笑っている」

 彼は少々焦った風で手を離した。赤が戻ってくる。彼と違う、なんとも毒々しい嫌な色。人は血色のよい花の様な手だと褒めるが、私はそう思わない。だって、色のない彼のほうが、幾ばくも美しい。

「な、何故泣く」

 真白の彼は切れ長の瞳を泳がせ再び手首を掴む。先程より優しい力だった。

「三成さま、質問ばかり」

 私の頬笑に気を悪くしたのか、三成さまは顔を逸らし鼻を鳴らした。それでも手は、握ったまま。
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