君が居なくなってから一ヶ月が経った。クエストへ行く前に薬草を買うのを忘れるのは当たり前となった。君が居たなら、服の裾を遠慮がちに握って、忘れているのを教えてくれただろうに。悠。呟いたって君はいない。駆けてこない。最後の一週間で目に馴染んだ美しい青年の顔は、いつだって苦笑を浮かべていた。あの抱擁を思い出すたび、頬が熱くなり、胸が痺れる。泣きたくなるのだ。涙と共に彼の記憶も流れてしまえばいいと何度思ったことか。私の大切なお供、彼が一生懸命選んでくれた武器を握り、私は今日も一人で戦う。薬草なんてなくていい。傷つかずに達成できれば、すぐに帰ってきてくれる気がした。亜種相手に無理な話だが。ブォンとハンマーが風を切る。モンスターの雄叫びが己の動きを封じる。―――ああ、またタメージを受けてしまった。

「一人は、こわいね」

 運ばれながら、呟いた。隣を行く者がいないのがこれほど心細いとは思わなかった。怖い、もう、戦えない。

 君がいなくなってから6回目のリタイア
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