指定のジャージを着てボールを抱えゴールへ走る彼女に頭が痛くなった。

「それは反則なのだよ」
「ダムダム」
「口で言ってもドリブルしてることにはならん」

 ゴール前に来ると、腰を落として数秒溜めてからシュートした。しかしボールは検討違いの場所へ飛んでいく。

「失敗だ!」
「屈みすぎだ馬鹿者」

 バタバタとボールを追いかけ、再び抱えたまま走る。馬鹿以外の何でもない。
 重いため息をついて、彼女の手中にあるボールを取りに行く。
 へっぴり腰のシュートが自分の真似であることは初めから知っている。そんな些細なことにも胸が浮わつくのだから、自分はもう手遅れなのだと緑間真太郎は苦く笑った。

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