白い肌を黒く焦がして、快活に笑っていたあの人は、夏休み明けからぱったりと学校に来なくなった。冬になってやっと姿を見かけるようになったけれど、私が挨拶してみても曖昧に返事をして去っていく。何度か図書委員の仕事を教えて貰ったのに、全て忘れてしまったみたいだった。
 なまえちゃん。一体何があったんですか。
 風間先輩との噂、ぼやけた瞳。白いワイシャツは常に手首まで覆っていて、スカートは膝下まで無理やり下げられている。

 カウンターに入って、貸し出しカードを出さずに借りていく人がいないか、ちゃんと見ていなきゃ駄目だよ。みんなサボるから学期末に本探しで慌しくなるんだ。

 時々図書室にくる彼女を、私はカウンターから見つめる。携帯を取り出し画面を数秒見つめ、ふっと笑った顔は、私の知らない暗澹としたものを含んでいた。
 風間先輩のところへ行くのだろうか。風間先輩はなまえちゃんのことが好きではないのか。何故、私に……。頭がグラグラする。
 ふらふらと図書室を出て行く彼女を横目で追いかけると、ふと目が合った気がした。



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