図書室で形だけの勉強をする。本当ならこんなこともしなくて良いのだけど、遊んでいるばかりでは脳が腐る。
 教科書をパラパラ捲りながら、メールを待つ。おそらく図書委員の女子生徒が本棚の本を整えつつ度々此方を見てくるが、慣れているので気にしない。見慣れない人間がいるからか、それとも真夏に長袖だからか。
 黒髪の女子は仕事が終わると、徐にカウンターの中に入った。そこまで律儀に仕事をしなくて良いと思うけれど。
 その時、携帯が小さく震えた。

『生徒会室』

 簡潔な文章に思わず苦笑する。お前の想い人は此処にいるというのに。
 鞄に筆箱と教科書、数冊の文庫本を入れて立ち上がる。貸し出しカードをカウンター前の箱に入れ、ドアを引く。ちらりと見えた彼女の顔はなんともいえない表情をしていた。



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