私は、十代という輝かしい時代を無駄にしていた。
 課題が面倒だとか、シャツが肌に張り付いて気持ち悪いとか、友達と桜の木の下を歩くだとか、スカートを折って先生に注意されるとか、そういう、過ぎたら二度と手に入れられないものを、手に入れようとすらしなかった。何もせずにいれば手に入れられたにも関わらず。

 私は夏まっさかりだというのに長袖のワイシャツを着て、制服のスカートを極限まで下げて足を隠していた。生徒会室のソファーにゆっくりと沈み込む。
 クーラーの効いた部屋で、私は虚ろな目で目の前に立つ男を見上げた。白い制服と明るい髪色。好戦的な赤い瞳が嗤っている。手が伸びてきて、私の首をそっと絞めた。

「そういうのはいやだよ」

 男は不満げに鼻を鳴らす。長い指が、ワイシャツのボタンを外していく。
 馬鹿なことをしている。自分でもわかっていた。



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