私は何故か、電車の中で倒れていた。少年を追っていたところまでは覚えているが、どうして気絶したのかは全く分からない。他の車両でも倒れた人がいたようで、数日の間テレビを賑わせていた。

「ほらあんた、もうすぐおいでになるから」
「はいはい」

 私が電車内で気絶したことを深く受け止めすぎた両親は、一人暮らしじゃ何かあったとき大変だと大騒ぎして今回のお見合いを発案した。甚だ迷惑な話である。
 着物の裾を整え、障子の向こうの日本庭園を眺めた。今も親から見目麗しいと大絶賛されている、渡瀬眞悧という人間はどういう人なのか考えながら。



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