声は掛けられずとも姿ぐらい見えたって良いではないか、なあ? 昼休みに校内をぐるぐる回り続ける私はさながら滑車を回し続けるハムスターのようである。黒子テツヤくんを見たいというただそれだけの為にこんなに苦労をするなんて私も乙女だ。恋じゃないところがいまひとつ青春といえないけれど。いや、姿を見れば一目惚れするかもしれないし、お話したら好きになる可能性だってある。

「どこにいるの、黒子くん……見えないバスケをすると聞いたけれど君自身も見えないだなんて聞いてないよ……」
「……あの」
「くっそー、もう一回体育館行ってみようかな! バスケ好きならいるかもしれない!」
「あの、ボクが」
「よし、頑張ろう」

 ふうっと息を吐きバナナ・オレの紙パックを潰した。待っていてくれ黒子くん、絶対に君を見つけ出してみせる。

君のための犠牲
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