春島についた。 当然のように上陸が決まり、五番隊と七番隊が待機になった。私も待機していようかと思ったが、エースがあの笑みを浮かべて「悠も行こうぜ」と手を差し伸べてきたのでついていくことにした。出来ればサッチと一緒に行動したかったが、こればかりはどうしようもない。 目の前の手にそっと指を乗せたら、躊躇いもなく強い力で握られたので、小声で呻いた。大丈夫だ、今度は火傷していない。 それにしても、最近疎遠だったエースが何故急にこんなことを? 喧嘩、はしていない。多分。仲直りするためにということはない筈だ。 「おぉ、エース! 上手くやれよ!」 「頑張れよー」 「うるせェ!」 この世界にくる前の過去で聞いたことのあるやり取りに、なんともいえない気持ちになった。いや、私の憶測……妄想でしかない。きっともっと違うことだ。もし本当なら、大変なことになる。どうしたら良いかわからない。……組みなおさなければ。 「な、なあ、悠」 「はい」 「行きたいところとかあるか? ……つってもここ、無人島だけど」 「……え?」 「……聞いてなかったのか?」 砂浜に打ち付ける波の音が静かに大気を揺らす。完全に固まった私に、エースは慌てて言葉を繋げた。 「大丈夫だ、何があっても悠は俺が守る。安心しろ!」 守るのは私のほうだ、というのは胸の中だけにしておいて、私はイゾウさんの言葉を思い出していた。 ――あいつを一人にしてくれるな 前/back/次 |