愛ってなんだっけ。

 神のお傍に。お傍へ行って、それから?
 教えてよ。お父さん、お母さん。
 私を見て。私、頑張ったよ。
 褒めてよ。助けてよ。苦しくて仕方ないよ。

 魔法少女になってしまったことで、私は神から愛される人間から外れてしまったんだろう。普遍的に愛を注いでくれる親はもういない。私を見てくれる人は一人もいなくなった。私は化け物になった。私は疎まれるようになった。世界中が敵になった。

 せめて、あの清らかな瞳さえ持っていれば、誰か私を受け入れてくれたのかもしれない。清廉な魂、暖かく優しい言葉。私にはないからこそ焦がれて仕方ない。あの光があれば、私はこんなに醜い姿になることもなかったのに。

「イー、のっク、さま」

 漏れ出た声は、獣が無理に発した音のようだった。喉が千切れそうなくらいに痛い。もう呼ぶことさえ許されないのか。
 目を閉じて、唇も引き結ぶ。膝を抱えて俯こうとしたその時、前方から瞼越しでも分かる程の光を感じた。思わず目を開け唇を噛む。遠くに、小さな影。瞬きした瞬間に、それはもう目の前まで迫っていた。

 溢れんばかりの神聖な光の真ん中。
 傷だらけの青年が、私に向かって刃を振り下ろした。
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