何もされないけれど、ひそひそ話は増えていく。話そうとすれば、するりと避けられる。一人になった。
否定をしたのに信じてくれなかった。熱に浮かされたような瞳は神崎さんしか映していない。それ以外に目に留まるものがあれば、それはきっと、ゴミ以下と認識されてる私。

「高橋さん、神崎さんの悪口を言ってるって本当ですか?」

ボールを運んでいると、上から声が降ってきた。見るまでもない、鳳くんだ。
後ろを向かずに返事をした。

「してないけど、信じてくれないでしょ」
「……それは」
「信じる気もないのに聞くなんてどうかしてる」

何か言われる前に走り出した。ボールの入ったカゴはかなり重かったけれど、キツイ言葉を聞くよりはいい。
コートの端にカゴを置く。じろじろ、じろじろ。顔を上げたら、宍戸先輩に庇われてる彼女が見えた。

「おい、高橋。何か用があるならちゃんと言え。無いならとっとと仕事に戻れ」
「……すみません」

睨んでるように見えたのだろうか。まあ、そんなのはどうでもいい。
ふと、振り返る。忍足先輩が彼女の頭を撫でていた。

唇を噛みしめて、コートから出た。

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