ぽたっ
艶やかな髪から滴り落ちた。ぽたぽたと落ち続ける水滴をそのままに、ただ立ったまま。床が濡れていく。早く拭かないと。でも、きっとまだある。

「なにするの、悠ちゃん!」
「何って……」

彼女はわんわん喚き始めた。そんな様子でさえ可愛らしいのだから嫌になる。

「性格悪い」
「……なんのこと?」

呟けば、小声で返された。彼女が自分自身にぶっかけたドリンク、それ作るの結構大変なのに。ああ、全部私のせいになるんだろうな。逃げる方法なんてわからない。

「雪乃! 悠! どうし、」

呼ばれた順番だけで、どうしてこんなに苦しくなるの。氷帝のキング、跡部先輩。アイスブルーの瞳が段々怒りに染まっていく。

「何や、何があったん」
「どうした!」

ドタドタ、バタバタ。人が集まる。騒がしくなる部屋の中で、私は一人ぼっちになった。

「悠ちゃん、がっ」



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