大きな瞳をぱちぱちさせて、にっこり微笑む。
大多数の男子がため息をついた。
「神崎は両親の転勤に合わせて氷帝に転入したそうだ。仲良くしてやってくれ」
仲良くするに決まっているだろう。少なくとも男子は。
「神崎の席は……あー、高橋の隣が空いてるな。高橋手上げろー」
なんてこった。いや、確実に私の隣とは思っていたけど、実際にそうなるとなかなか衝撃的だ。
ゆらりと手を上げると、男子数名に睨まれた。いや、私女でしょうが。
トテトテと私の隣へきて、椅子に座る。ハニーブラウンの髪がふわふわ揺れて、甘い香りを放った。
「じゃあ出席とるぞ」
生徒の名前を呼び始めた教師。今日のネクタイ変な柄だな。
ぼーっとしながら頬杖をついていると、不意に肩をつつかれた。隣を見ると、可憐な微笑みを浮かべた美少女転校生。
なんだろうと思った次の瞬間、その笑みは消え、代わりに妖艶で美しく、威圧感のある笑顔が現れた。
「よろしくね、マネージャーさん」
心臓を鷲掴みにされた。暑くないのに汗が滲む。
落ち着くために息を吐いて、小さく頷いた。それが精一杯だった。