相変わらず、『いじめ』は部活内のみで行われていた。隣の席で天使の微笑みを浮かべる彼女は、ひどく醜くて愛らしい。「はやく、転校しなさいよ」小さな唇から紡がれて私の耳に届く罵倒。ここで言い返したら後が怖いから、何も言わない、言えない。

前まで、それなりに仲良くしていた人に嫌われる。睨まれる。無視される。叩かれる。殴られる。蹴られる。疎まれる。

それでもちゃんと仕事してる私を褒めてほしい。褒めて、認めて、撫でて、抱き締めて、受け入れてほしい。あいつらへの憎悪でぐちゃぐちゃだけど、あっちもきっと私への嫌悪でぐちゃぐちゃだから、おあいこ。

脇腹に強い衝撃。短く息をして、歯を食いしばった。前髪を掴まれて頬に一発。だらだらと涙が流れ出す。汚ねえ、吐き捨てられた言葉と一緒に地面に倒れこんだ。土の匂いと、鉄の味。涙が口に入ってしょっぱい。

「こいつ、結構胸あんじゃん」

涙が止まった。この後どうなるかなんて嫌でもわかる。やだ、それだけは絶対に嫌だ。こいつらなんかに、絶対、

「あああああああああああああああああああああああああああああっ!!!」

叫んだ。多分、生まれたとき以来だろう。絶叫して、怯んだ隙に走り出した。
芥川くんに頼るなんて考えは無かった。神崎さんのところに行きたかった。

部室へ、向かう。
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