夜がくる。俺達の夜。

 静かな空気をこの刀で裂き、滲んだ鉄を啜る。俺達は人間というものからずっと遠くにいってしまったけれど、俺にはちゃんと志がある。血を求めるだけの化け物にはなってないはずだ。
 だから、俺は悠を待ち続けることが出来る。戦いに酔うことなんてないから、ずっと此処で待てる。本当は俺等の敵だったとか、今まで騙されてたとか、そういうの全然気にしねーからさ、帰って来いよ。俺はお前のために戦ってるんだ。お前とまた祭に行くために頑張ってるんだ。今度は二人で、って約束したからさ。

 月が眩しい。最近じゃ自分の刀見てるだけで楽しくなってくるんだよ、どうすればいいかな。ああ、男がこんな弱音吐いたら駄目だよな。頑張るよ。お前が戻って来てくれるまで、ずっと。

 お前さ、出てくとき泣いてたよな。女とは思えないような言葉言ってさ、俺等を睨みつけながら泣いてた。それってさ、本当は戻りたくなかったってことだよな? そうじゃなかったら、俺すっげーかっこ悪いな。一人で空回りしまくってさ。

 血が欲しい。斬って斬って、全部忘れたい。月が暖かい。なのに、なんか寒い。苦しい。なあ、悠、俺こんなになっちまったけどさ、今でも待ってる。夜外に出る理由は、戦うためとお前を探すためが半々になった。お前のこと忘れる前にさ、早く、早く、頼むから、早く戻ってきて、こんな馬鹿な俺を叩き起こしてくれよ。早く目覚めたい。お前と一緒の時間を過ごしたいんだ。朝起きて、夜眠りたいんだ。

 悠、お前どこにいるんだよ。このままだと俺寝坊するだろ。血しか飲めなくなるだろ。頼むから、起こしてくれよ。自分じゃ起きることも出来ないけどさ、つまり、俺、悠がいないと駄目ってことだ。ごめんな。ごめん、ごめ


「なにやってんのよ、ばか! 早く起きなさい! なんでそんなボロボロなのよ!」
「……悠? 戻って……?」
「お祭一緒に行くって約束したでしょ。私、嘘はつきたくないの。それと、嘘つく人は嫌いだから、絶対約束破らないでよ」
「、……」
「ほら、しゃんとしなさい! 私が運んであげるから、絶対死なないでよ!」
「なあ、悠」
「なによ、」

あれ、泣いてる。俺が泣かせたのか? 謝らないと。ああでも、その前に、


「おはよう」



輝くようにそこにあってください



♪05410-(ん)/RADWIMPS

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -