ふっと息を吐くと、二酸化炭素は水蒸気となって昇っていきました。
喫茶店のある通学路。いつもと変わらない風景ですが、何故か既視感に見舞われます。前に誰かと歩いたような……。ああ、アーサーさんに生徒会イベントの内容について話しながら帰ったことがありました。きっと…それ、でしょう。

家に帰ればあのゲームが待っています。何千、何万回も繰り返しましたが、何度やってもBADEND。理由は薄々わかってきました。
それでも、突き放すことは出来ません。やってはいけない。

憶えているのは、彼女の黒髪と震える瞼。
そして、自分が許されざる罪を犯したということ。

彼女が誰なのかさえわからないし、罪が何なのかも思い出せない。

分からなくても、たとえどんな終わりを迎えようとも、二度と彼女の手を離すものか。幸せな終わりでなくても、私は彼女を突き放す選択はしない。絶対に。


「名前さん、」







そして私は、今日も『幻葬』を見続ける。



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -