『水蒸気の塊に身を投げて、彼女は一体どうしたかったんだろうな』
『寝たかったんじゃないか?』
ああ、またBADEND。
どうしたら彼女は死なずに済むのでしょう。
画面の見すぎからか、目がチカチカしてきました。そろそろ寝ましょうかね。
……あれ、いつのまに教室へ来たんでしょうか。
制服はしっかり着て…ますね。
……?
墨の香りが…?
どこから、……私の制服から。
「水蒸気の塊に身を投げて、彼女は一体どうしたかったんだろうねえ」
「寝たかったんじゃないかい?」
アルフレッド君とイヴァンさんの雑談。どこかで聞いた事が……
BADENDのエンディング?
どういうことでしょう。あの方達はゲームのことなど知らないはず。
ならこの墨の香りは…?
『苗字さんは書道部らしい』
頭の中で誰かが呟く。誰か?いえ、これは序盤のストーリーで分かる彼女についての話。ああ、そういえば彼女書道部でした。いつも墨の香りがして、私はそれを嗅ぐたび落ち着いた。……そんなことストーリーにありましたっけ?
わけがわからない。そういえば今日、彼女が物置部屋で待ってるはず。行ってみましょう。
……今なら、まだ取り戻せる気がするんです。