「……本田、最近ぼんやりしていることが多いが、何かあったのか?」

「そうだよぉ、菊なんかあったの?」

「…え、そうですか……?」

「うん。…やっぱ、あの子のことまだ…」

「フェリシアーノ!」

「ヴェッ、ごめん。なんでもないよ」

「?」


最近やたら心配されます。そんなにぼーっとしているのでしょうか?
…ああ、寝不足だからかもしれません。

先日、やっと例のゲームが届きました。届いたその日から夜通しプレイしているので、やはり寝不足になってしまいます。ぼんやりしているというのは眠気からくるものでしょう。

しかし、あのゲーム、何度やってもBADENDになってしまいます。
知名度も低いらしいので、攻略サイトも見つかりません。
…見る気はありませんけどね。

攻略対象はもちろん苗字さんです。設定された名前も、漢字が違うだけで読みは同じでした。…少し怖くなりましたが、日本男児たるものここでやめたら男が廃ります。

(どうすればTRUEENDに…)

「ねえ菊ちゃん、悩み事でもあるの?良かったらお兄さんに相談してみない?」

「フランシスさん」

帰り際、すぐに帰るはずのフランシスさんが私に話しかけてきました。
……そこまで心配をかけているとは。

「心配かけてすみません。ただ寝不足なだけ、で…」

そうだ。フランシスさんは恋愛を得意とする方。それにアニメにも比較的詳しかったはず。
ああいったゲームに偏見は無いだろう。

「…フランシスさん、一つ頼みがあるんですが」

「何?菊ちゃんには世話になってるし、お兄さんに出来ることなら何でもするよ」

女性が見たら思わず見惚れてしまいそうな笑みを浮かべ、フランシスさんは言いました。

「クリア出来ないゲームがあるんです。幻葬という恋愛ゲームなんですが…」

花のような笑みが、一瞬凍りついた。
しかし、すぐにふんわりと笑って「俺に手伝って欲しいってことか」と呟く。

彼の違和感を不思議に思いながら、私は、お願いしますとお辞儀をしました。




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -