1人増えても




待ち合わせ場所は海常高校前。

楽しみすぎてやばい。どうしよ。
何買おうかな。とりあえずサポーターとか買いたいな。ボールも新調したいし。


「ひーちゃん顔に出てる」


『え!?ほんとですか!?』


「すごいニヤついてたぞ」


『え!?うわっ、見ないでください岩泉先輩!』


「えー?ひーちゃんかわいいよ」


『………及川先輩はなんでいるんですか?』



さらりと会話に混じってきて。


「別に1人増えたっていいでしょ!!!」


「及川じゃなければな。お前だと……ほら…」


岩泉先輩が海常高校の門から出てくる女子生徒に視線を送る。




「きゃー!誰あれかっこいい!」
「海常の先輩かな?」
「えー、他校だよきっとー」
「ねえ、話しかけない?」


「『うわぁ…』」


「ヒドッ!俺悪くないし!」


『そういって手を振ってるじゃないですか』


及川先輩が女子生徒にひらひらと手を振るたびに黄色い歓声があがる。


ズバズバと及川先輩に文句を岩泉先輩と春斗先輩で言い合って及川先輩を涙目にさせていたら、

さっきの歓声より更に増えた黄色い歓声が聞こえた。


「う、うるせえ…」


「誰!?俺よりも高い歓声出させたの!」


「徹対抗すんなバカ」




「あ!飛空くん!」
「てめえ、手を振る前にこの周りの奴らどうにかしろ!」
「俺今、女の子に囲まれてる…」



あれ…なんだろう…


「なんだこの既視感……」


『あれ…春斗先輩も感じます…?』


この謎の既視感。


「あ……!黄瀬涼太!」


「知ってんのか?」


「岩ちゃんそれも知らないの!?モデルだよ!モデル!」


「お前モデルとか興味あるんだな…、黄瀬涼太…海常高校…バスケ部か」


『春斗先輩知ってるんですか?』


「全国クラスの高校だよ。インハイとかの常連校」


『!!へえ!そんな強かったんですか!』


「ひーちゃんが知り合いなのが驚き」


へえ…!知らなかったなぁ!
なんかすごい人と知り合いになっちゃったかも!


「よ、蓮浦」


『あ!こんにちは笠松先輩!』


「飛空くんこんにちはー!待たせちゃったっすね!」


「お嬢さんこんにちは」


『涼太くんもこんにちはー!ぜんぜん待ってないよ!
あと…森山……先輩はその呼び方やめてください』


後ろで及川先輩とかが騒いでるじゃないか。


「今呼び捨てしようとしただろ。
えっと…そちらが及川先輩に春斗先輩、岩泉先輩?」


『はい、そうです!』


「急に参加して悪りいな」


「うん、ごめんなほんと!俺が春斗!影山春斗な!ちなみに3年!ひーちゃん……飛空以外みんな3年だ。
この茶髪が及川でツンツンが岩泉な」


さらっと及川先輩と岩泉先輩を自己紹介する春斗先輩。
すごい…。コミュ力っていうの?


「ツンツンってなんだよ…」


「岩ちゃん間違ってないよ!」


先輩そんなこと言って煽ったら岩泉先輩に蹴られ…「いだっ!」ほら蹴られた。


「うわ…なんか既視感あるな…。

えと及川…くん…だっけ?なんだ…見たことあるぞ…」


今日は既視感って単語よく聞くなー。


「及川でいいよー。えっと名前は?」


「あぁ、森山だ。同じく3年。
なんだっけなー…えっとうーん、バレーだっけか?」


「?森山お前知ってんのか?」


「女の子と遊んだ時にバレー好きな子いてバレーの…月バスみたいなやつ見せられたんだよ。その時この人注目だとか言われて…及川見せられたんだ」



へえー!
及川先輩関東でも人気なのかー


『先輩よかったですねー』


「え、なに、ひーちゃん嫉妬?嫉妬してくれてる?」


『してないですゥー』


なんでしなきゃいけないのさ。

それから、涼太くんと笠松先輩が自己紹介してこの話は終わり。
今はスポーツショップに向かってる。


『うわあ、すごいなぁビルが高い』


それに人混みもすごい。
なんていうんだろ。避けながら歩くっていうの?
前見てなきゃ人にぶつかる。


「飛空くん危ない」


『わっ』


横からジャージの裾を引っ張られる。

うーん、こっちの人は冷たいなぁ


『歩くの大変』


「そうっスか?」


涼太くんは慣れてるんだよ、と言う。


「ほら、ここだ。だいたいのスポーツは揃う。
お前らはバレーだよな?俺らバスケの売り場にいるから、終わったら声かけろよ」


「すまないな、観光まで付き添ってもらっちゃって」


「いいって気にすんな」


そう、俺たちはこの買い物のあとぶらりと東京を観光するのだ。

笠松先輩とかが案内してくれるらしい。有難い。


「俺らこっちに住んでてもそんな東京観光なんかしないッスからねー。いい機会っス!」


(ふふっ)
(ひーちゃんなに笑ってんの)
(なんでもないですよ〜)

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -