自由行動
『すいませーん!ドリンク回収しにきました!』
ちょうど俺が海常のバスケ部さんにドリンクを回収しに行った頃。
バスケ部も練習が終わったみたいでモップをかけていた。
「あ!マネージャーさんじゃないッスか!」
『はい!マネージャーさんです!ジャグあります?』
「あるッスよ!」
「これだ。悪いな…片付けまで任せちゃって…」
『いえ!気にしないでください!こっちこそジャグをそのまま渡しちゃって申し訳ないです!』
「ボトルないもんな…でもすごい助かった。ありがとな」
『はい!』
ジャグを貰って洗い場に行こうとすると、
「お嬢さん!」
「「…………」」
『俺お嬢さんじゃないって言ったじゃないですか』
「俺の中ではお嬢さんと呼ぶことにしたんだ。そう決めたんだ」
知らんがな。
「お嬢さんはいつ、えーと遠征だよな?いつ地元に帰るんだ?」
『地元?えっと、確か明日も練習あるって言ってて…明後日は自由行動だから…明明後日ですね!3日後です!』
明日はまた違う学校と練習試合をするのだ。それも今度は一校だけではなく、いくつかの学校と全日。
「明後日は自由行動…」
『そうなんです!俺あんま都会来たことないんで、都会のスポーツショップとか行きたいなって!』
「!!それなら俺案内するッスよ?」
『え!』
「…いいなそれ、お礼として案内するか。勿論お前がいいならだけど、」
「黄瀬たまにはいいこというなぁ!」
「たまにはってなんスか、たまにはって」
案内…。
俺こっち来たことないから案内は助かるなぁ。
『えっと、じゃあお言葉に甘えて…お願いしてもいいですか?』
「やった!」
「おう、いいぞ」
「土曜か、ちょうど体育館整備で休みだしな」
『ほんとにありがとうございます!土地勘ないからすごく助かる!』
これで明後日は液晶片手にキョロキョロ歩かなくていいわけだ。
「じゃあ、連絡のためにもアドレス交換を…」
『はい!』
「ダメッス森山センパイじゃ!俺が!」
「お前も心配だわ」
『ははっ、!3人とも交換お願いしていいですか?』
「「「……………」」」
突然3人とも固まり、俺をジッとみる。
『?』
「うーん、笑うとちょっと女の子っぽいッスね!」
「俺も思った!…笠松顔赤いぞ。ほんと耐性ないな」
「男ッスけどね」
笑うと女の子っぽい…?
なんかショック…。
「お、赤外線来たッス!センパイ達には俺がメール回しますね!
えっと…蓮浦…ひそら…?」
『はい!黄瀬…涼太くん!覚えた!』
「はい!覚えてほしいッス!珍しい名前ッスね!」
『そうかな?空を飛ぶで飛空、俺は結構気にってるよ!』
(じゃあ、土曜日に!)
(蓮浦メールするな)
(俺もメールする!)